バレ、AJら輩出 人口15万人の島がなぜ野球王国となったのか

NEWSポストセブン / 2014年3月27日 11時0分

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カリブ海に浮かぶ島・キュラソーの野球環境は

 今年もいよいよプロ野球が開幕するが、昨年、60本塁打の日本最多記録を打ち立てたヤクルトのバレンティンの出身地として知られるのが、カリブ海に浮かぶ人口15万人の島・キュラソー(オランド領)だ。バレンティンのほかにも日米野球界に数々の名選手を輩出している。世界を席巻する「小さな野球王国」の強さの秘密に迫った(取材・文/中島大輔 撮影/龍フェルケル)

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 米国のマイアミを出発した飛行機が南米大陸に近づくと、カリブ海にポツンと浮かぶ小島が見えてきた。1499年にスペイン人とイタリア人の探検家に発見された、オランダ領のキュラソーだ。人口15万人、国土面積は種子島と同じほどのキュラソーは現在、メジャーリーグの熱視線を浴びている。

 昨年日本でシーズン本塁打記録を更新したウラディミール・バレンティンの故郷でもある同島から近年、ドジャースの守護神ケンリー・ジャンセンや7年総額60億円の契約を結んだブレーブスのアンドレルトン・シモンズらスター選手が次々と誕生しているからだ。現役メジャー選手数では、同じ中米のドミニカ共和国出身者が米国以外で最も多いが、人口比ではキュラソーが圧倒している。

「ベネズエラやドミニカにもいい選手はいるが、広いから探し当てるのが大変だ。キュラソーでは車を5分も走らせれば、優秀な選手を見つけられる」

 オリオールズの現地スカウトのアーネスト・メイヤーが、そう語る。少年野球コーチとしても36年間活動する名伯楽は、この島の野球の歴史を変えた選手を育てた。昨季、楽天の4番打者として初優勝に貢献したアンドリュー・ジョーンズだ。

 1996年、ジョーンズは19歳のときブレーブスでデビュー。同年ワールドシリーズ初戦で初打席から2打席連続本塁打の離れ業を演じる。ヤンキースの英雄ミッキー・マントルの最年少記録を更新したことで、キュラソーでは野球人気が爆発した。

「我々は一年中海で泳ぎ、大地を走り回るうちに運動能力が養われる。キュラソーの人間は野球をするために生まれてきた」

 島内の強豪少年野球チームでコーチを務める、スタンリー・シモンが誇らし気にいう。ドミニカ人同様高い身体能力を誇るキュラソーの人々には、独特の野球環境がある。ドミニカの少年たちが遊びの延長で野球をプレーするのに対し、キュラソーの人々では7~18歳まで緻密な制度の下で育成されていく。少年野球は年齢別に6つの区分に分かれ、同じチームで自動昇格していくのが一般的だ。

 キュラソーは石油精製の産業が発達し、周辺国ほど貧しくはない。そのため、少年野球チームがきめ細かくできたのだろう。現地紙『ウルティモ・ノティシア』のジュリアス・ココ記者によるとチーム総数は100以上で、島内には各年代別に3つの少年野球リーグが存在する。そのうちのひとつ、リガ・パリバの選抜チームは、国際大会の常連で昨年ジュニアチーム(13~14歳)が世界3位に輝いた。

 各年代ともに1チームの人数は12~15人で、複数の守備位置に就く。リガ・パリバの会長デニス・ダンブルックによると「チャンスを広げるため」だ。

※週刊ポスト2014年4月4・11日号

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