消費増税 「財源が足りないから取る」は馬鹿でもできる政策

NEWSポストセブン / 2014年5月1日 11時0分

 政府はアベノミクスによる景気回復で消費増税も耐えられると見ているが、本当に日本経済を活性化させるなら、増税よりも減税が必要だと説くのは国際ジャーナリストの落合信彦氏だ。以下、同氏がレーガノミクスで経済成長を遂げたアメリカの例をもとに解説する。

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 4月から消費税率が5%から8%に引き上げられたが、愚かと言うほかない。今の日本に必要なのは増税ではなく、「減税」である。

 不況下の増税によって景気に冷や水を浴びせれば、個人も企業も収入が減り、結果的に税収も減ってしまう。「財源が足りないから取る」というのは馬鹿でもできる政策である。

 むしろ世界の優れたリーダーたちは思い切った「減税」によって景気を回復させ、税収を増やしてきた。歴史と経済を真剣に学べばわかることだが、安倍をはじめ自民党の政治家と財務官僚、新聞など大メディアはそれがわかっていない。

 安倍が手本にすべきリーダーを一人挙げるとすれば、第40代アメリカ合衆国大統領のロナルド・レーガンだろう。

 アベノミクスとはそもそもレーガンの経済政策である「レーガノミクス」になぞらえて名付けられたものだが、レーガノミクスはアベノミクスとは正反対の政策であった。財政危機のなかで思い切って減税を断行し、既得権集団の抵抗を排して利権を解体していく改革だったからである。

 レーガンが1981年に大統領に就任した時、アメリカ経済は瀕死の状態にあった。2度にわたるオイルショックなどにより不況下のインフレ(スタグフレーション)が起き、失業率は7%を超えた。

 前任のカーターをはじめ1970年代の大統領たちは景気を刺激するためと言っては政府支出を野放図に拡大させ、各種税率を上げていった。またエネルギー資源の価格規制など、政府の権限を大きくして経済をコントロールしようとした。つまり安倍と同じことをして、ことごとく失敗したのである。

 そんな中で登場したレーガンはそれまでの政権とは180度転舵し、減税と行政のスリム化、そして規制緩和を掲げた。議会や専門家の反対に屈することなくレーガンは所得税の最高税率を70%から段階的に28%に引き下げるといった大胆な減税を断行したのだ。

 その効果は目覚ましいものだった。レーガン政権一期目の後半にはアメリカ経済は復活の軌道に乗り始め、1984年に経済成長率を7.2%まで急伸させた(就任前の1980年はマイナス成長だった)。

 またレーガンは8年間の任期を通じて減税という政策の軸を変えなかったが、その間にアメリカ政府の歳入は24%も増加したのだ。逆に日本は1997年に消費税を3%から5%に引き上げたが、それ以降で政府の歳入が1997年の水準を上回ったことは一度もない。これが世界の常識である。

 一方で、レーガンはソ連に対抗するために軍事支出を増やしたので財政赤字は拡大してしまった。それをもってレーガノミクスを批判する人間は多いが、それはおかしい。

 軍拡競争に対応できなくなったソ連が西側に歩み寄ったことで1989年に冷戦は終結。その後、1990年代にアメリカが「平和の配当」による経済成長を遂げたことを考えれば、やはりレーガンの方針はアメリカ国民に多大な利益をもたらしたと言えるだろう。

※SAPIO2014年5月号

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