現在の基準と大差がある健康新基準値を公表 健康な人増える

NEWSポストセブン / 2014年4月21日 16時0分

 自分は「健康」なのか「病人」なのか──。そもそも痛みなどの自覚症状がなければ、自分自身で判断することは難しい。健康診断や病院での検査を受け、病巣が見つかったり、数値が「健康基準値」を逸脱していれば、病人になる。だが、誰もが信じて疑わなかったその基準値が、ここにきて大いに揺らいでいる。

 人間ドック学会が4月4日、血圧やコレステロール値、肥満度などについて行なった大規模調査の中間報告を発表。そこで、現在の健康診断で採用されている健康基準値と大きく差がある「新基準値」が公表されたのだ。

 例えば血圧の場合、これまでは上(収縮期血圧)が130以上、下(拡張期血圧)が85以上なら「血圧が高い」と診断されてきた。それが、今回公表された新基準値では大幅に緩和され、上は147まで、下は94までは正常値であるとされた。いままでは高血圧症だと悩んでいたが、「この基準なら、自分はセーフ」という人も少なくないはずだ。

 最も従来の数値とかけ離れているのが、いわゆる「悪玉コレステロール」とされてきたLDLコレステロールだ。現基準では120未満が正常とされたが、新基準では男性の上限が178、高齢女性ではなんと190まで拡大された。

 この調査は、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会(健保連)が立ち上げた共同研究事業。約150万人に及ぶ人間ドック検診受診者の血液検査データを使って、健康基準を導き出した。サンプル数が膨大なことから「メガスタディー」と呼ばれる手法である。

 まず約150万人のなかから、国際的に認められた基準を使って約34万人の健康人を抽出。そこからさらに厳しい基準で異常な人を除外し、最終的に約1万~1万5000人の「超健康人」を選び出す。その個々の検査値の分布を分析することで、基準値の範囲を求めたという。

 調査研究小委員会で学術委員長を務めた三井記念病院総合健診センター特任顧問・山門實(みのる)氏が解説する。

「約150万人という膨大なデータを解析した基準範囲の策定は過去に例がありません。母数が多いことから男女別、年齢別の策定もできた。今後5~10年かけて追跡調査をすれば、さらに精度は高まるはずだ。将来的に統一された検診の基準値としたい」

 東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所長も新基準を高く評価する。

「欧米の基準とも非常に近く、信頼性は高い。例えば2013年12月、アメリカ政府の委員会が決めた高血圧の基準は60代で上が150。今回の147はそれにかなり近い。従来の130というのは、世界の基準から見てもかなり厳しいものだった。コレステロールについても、欧米ではLDLコレステロールが190以上を『異常』としているが、日本では120以上です。今回の基準では179以上なので、以前に比べれば欧米の基準にかなり近くなった」

 新基準は、現在の基準と比較すると「健康」と診断される範囲が広がったので、もし実際の健康診断の基準に採用されれば、これまでは「病人」扱いされてきた人が、「健康」になるケースが続出することになる

※週刊ポスト2014年5月2日号

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