ニコ生通じて独居老人を助けた大阪河内音頭チームの成り立ち

NEWSポストセブン / 2014年4月22日 11時0分

 インターネットを通じて男性の命が救われた。大阪・枚方市のダンスグループのメンバーが、動画共有サイト「ニコニコ動画」内の『ニコニコ生放送』(ニコ生)で知り合った、埼玉に住む一人暮らしの男性「頑固一徹」さん(69=ハンドルネーム)の異変に気付き、救急隊員に通報。孤独死の危機を回避したのである。

 両者は一度も、直接会ったことはなく、お互いの本名や住所すら知らなかった。

 枚方市を中心に活動する河内音頭のダンスチーム『スターダスト河内』は、“ゆとり世代”の子供たちの余暇利用からスタートした。土日に学校が休みとなり、子供たちの校外活動の時間が増えたため、時間を無為に過ごさせるのではなく、何かを学ばせようとしたのである。

『スターダスト河内』のマネージャー・十河真実さん(54)が語る。

「中学、高校でも続く地域のネットワークを作ろうという発想から、親たちが子供の頃に熱狂した河内音頭のダンスチームを作ることを決めた。ほぼ親の勝手でしたが(笑い)、ともかく4月に結成し、夏までに盆踊り大会で踊れるようになるのが当面の目標でした」

 現在こそ、幅広い年代の50人近いメンバーがいるが、当初は同級生を中心とした6人。近所に住む高齢者を講師として招き、河内音頭と真剣に向き合う日々が始まった。

 スタート当時は小学生だったメンバーの1人、嶋田紫織さんはこう語る。

「正直、なんで河内音頭やねんという気持ちでした(笑い)。最初は親の後について行った感じです。でも一度振り付けを覚えると、音楽が軽快で、踊るのが楽しくて仕方がなかった」

 最初は「目立って褒めてもらいたい」だけだったという彼らが意識を大きく変えたのは、地元の老人ホームへの慰問がきっかけである。子供たちがお年寄りから戦争の話を聞いたお礼に、河内音頭を披露した。

「メンバーが河内音頭を踊り始めると、お年寄りたちはリズムに合わせて大きな声を出し、メンバーの姿を見て涙を流してくれた。手を握りながら“あんたらは国の宝や”と涙ながらにいわれたあのシーンは、一生忘れられません」(嶋田さん)

 この時から、メンバーは単に盆踊りに参加するだけでなく、河内音頭を通じて次世代に日本の文化を残したいとの思いが強くなった。

「全国の若者にも河内音頭を知ってもらいたい。ニコ生もその一環で始めました。毎日欠かさず放送しています。踊ってみるとこんなに面白いということを動画や言葉で伝えるのが目的ですね」(メンバーで紫織さんの母の嶋田ゆかりさん・48)

 そして1年前、ニコ生上で一徹さんとの運命の出会いを果たす。若手メンバーの1人が一徹さんのニコ生に興味を持ったことがきっかけだった。

 一徹さんも、自分の放送でスターダスト河内を取り上げてくれるようになり、親しい交流が続いた。そしてある日、一徹さんが所用のため、4月に車で九州に向かうことを聞く。メンバーの提案により、旅の途中で大阪に立ち寄ってもらい、そこで初めて会う約束を取りつけた。

「連絡を取り合うため、携帯電話の番号をその時に聞いたのです。でも、まさかあんなことになるとは思わなかったから、その時は住所も本名も聞いていませんでした」(十河さん)

※週刊ポスト2014年5月2日号

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