中国の日本企業いじめ 尖閣問題クローズアップで対象広範に

NEWSポストセブン / 2014年5月19日 16時0分

 あらゆる企業に「13億人市場」が魅力的に映ることは当然だ。一方で、中国進出と同時に始まる日系企業への「嫌がらせ」に辟易し、撤退する企業も増えている。しかし、撤退すら一筋縄ではいかないのがこの国の恐ろしさだ。

 日系商社Aの上海支社に中国当局から屈辱的な通知が届いたのは昨秋のことだ。

 A社では安全性の高い日本製の屋内配電ケーブルを中国で生産・販売しようと2009年から営業活動を続けてきた。2011年秋には北京のマンション建設業者から受注し、いよいよ中国での市場開拓に目途が立った。

 ところが、中国での販売に必要な「CCCマーク」(日本の「JIS」「PSE」などに相当)の取得がハードルとなった。同製品は日本ですでにPSEを取得済みで安全性に問題はなく、中国での申請は容易に済むはずだったが、役所はのらりくらりと認証を出そうとしない。

 担当の役人からは「もう一歩でなんとかなる」と言われ、露骨な裏金要求もあった。「あと一歩」がいつまでも続き、様々な名目でカネを取ろうとする。払った額の合計は数百万円。さんざん待たされた挙げ句、「専門家の意見」を理由に通知された結果は、やはり「認定不可」だった。

「新型ケーブルは中国のものよりコストが安い上、漏電しにくく火事のリスクも低い。中国のケーブル会社を保護するために参入阻止したのでしょう」とA社社長は憤る。

 A社が被害にあったように中国企業に有利になるよう仕向ける(加えて現場の役人が裏金を要求する)パターンはかねて行なわれてきた日本企業いじめの典型例だが、特に2012年に尖閣諸島問題がクローズアップされてから、嫌がらせの対象は広範になっている。それによって財界が日本政府に「中国に妥協すべき」と働きかけることを狙っているのは言うまでもない。

 圧力をかける手口は様々だ。例えば税関で「あれこれと難癖を付けられる。当然、賄賂も要求される」(電子部品メーカーの上海駐在員)のはよくある話だ。

 上海では日本の各都道府県が窓口として事務所を設置、観光誘致のほか地元企業の中国でのサポート業務などを行なっている。日中関係が緊張するたびにそれらの事務所に市の役人たちが突然訪れ、書類を漁っていくという。

「理由も開示されず、抜き打ちで検査されました。普段は問われないような軽微な違反を見付け圧力をかけてくる。3か月間の営業停止を命じられた自治体事務所もありました」(東北地方の事務所職員)

 反対に、日本企業が犯罪の被害を受けても警察はまともに捜査しない。

 上海にある日系メーカーB社工場では2012年以降、レアメタルなどの高価な金属が盗難される事件が頻発した。防犯カメラの画像や目撃者の証言から、犯人はB社の中国人社員であることが濃厚だった。

「本人が認めなかったため、警察に通報した。ところが警察は『その中国人社員がやったかどうか100%の確証はない』などと言って事情聴取すらしてくれませんでした」(B社関係者)

■西谷格(在中国ジャーナリスト)と本誌取材班

※SAPIO2014年6月号

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