町田樹はかく語りき「僕は悲劇を演じるほうが合っています」

NEWSポストセブン / 2014年5月18日 16時0分

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「ビッグマウスをあえて使った」昨シーズンを振り返る町田樹選手

 世界選手権銀メダル、ソチ五輪5位。フィギュアスケート界をけん引する町田樹選手の魅力は、芸術的な演技はもちろん、その“言葉”にもある。「ソチは未知なるフロンティア。恐怖心があるが、やるしかない」「逆バレンタインを届けたい」「ビッグバンですよ。僕の“火の鳥”は宇宙まで飛ぶ」「僕にとって現状維持は退化」「目指しているのは、純粋芸術としてのフィギュアスケート」――。

“氷上の哲学者”とも呼ばれる町田選手の言葉には個性と本質が同居しており、フィギュアスケートをよく知らない人の心にも刺さる。そうした言葉の源泉にあるものとは何か。「競技も人生も、本にインスパイアされてきた」と語る町田選手に、本と、フィギュアと、町田樹の深い関係を聞いた。(前編:競技編/2回に分けてお届けします)

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■「ティムシェル」との化学反応

「ティムシェル」という言葉を、ソチ五輪の前、どれだけの人が知っていただろうか。昨シーズン、町田選手が「ショートプログラム『エデンの東』のテーマはティムシェル」と語ったことで一躍広がった言葉だ。スタインベック著、ジェームス・ディーン主演で映画化された名著『エデンの東』に出てくる「ティムシェル」との出会いが、町田選手をソチへと導いた。

「人類にとって可能性に満ちた言葉だと思います。本にも書かれている通り、時代も、人種も、宗教も超える言葉です。だから、オリンピックという至高の舞台で演じるにふさわしいテーマだと思いました。これからも僕が人生を歩んでいく上で、大きな心の支えになってくれるでしょう」(町田選手、以下「」内同)

 ティムシェルとは、『エデンの東』で「汝(なんじ)、治むることを能(あた)う」と訳されている。その解釈を巡って登場人物たちが議論を繰り広げる場面は、同書の山場の一つだ。ラストシーンで、死にゆく父が息子に残す言葉でもある。町田選手はこの言葉に独自の解釈を施している。

「ソチ五輪の2年ほど前に、偶然『エデンの東』を読んだんです。当時僕は、“第6の男”と呼ばれていて、世間のみなさまも、フィギュア関係者も、僕がオリンピックに行くとは想像していなかったと思います。僕自身さえ、当然憧れの舞台ではあるけれど、半信半疑だった。

 そんな時にティムシェルという言葉に出会って化学反応が起きました。ティムシェルという言葉には、可能性を委ねられているようなところがある。『君次第だ』と言われている気がしたんです。自分の努力次第で光をつかめる、とこの本から学んで、奮起しました」

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