「ダルはアーティスト、マー君はワーカー」とMLB現地解説者

NEWSポストセブン / 2014年5月19日 16時0分

 メジャーリーグを沸かせるダルビッシュ有と田中将大。共に好投を続けるが、勝利数や防御率などの結果だけ見ると田中が勝っている現状がある。これには、田中の球数の少なさ(テンポが良い)が打者へよい影響をもたらし、援護率(味方が点を取ってくれる割合)の高さにつながっているため、という分析がある。

 野球も人間がやるスポーツである以上、こうした感情の面も大きく関係してくる。投手としては、野手から「こいつを助けてやろう」と思われるかどうかという点も、結局は大きな差になるというわけだ。メジャーでコーチ経験のある野球評論家・高橋直樹氏が語る。

「田中にあるのはひたむきさ。日本から来てたどたどしい英語で頑張っていれば、周囲も自然ともり立ててやろうという気になり、それがいい結果を生んでいるように思います。一方、英語も話せるダルビッシュは1年目から堂々とし、力も見せつけた。大物がチームに加入するとよくあるケースで、近寄りがたい雰囲気が災いしているのではないかと思います。こうした緊張感はミスや凡打と無縁ではない」

 今やメジャーのエースといえる2人については、現地でもとかく比較の対象として語られる。それはもちろん、人間性についてもだ。MLBの現地解説者が語る。

「ダルビッシュはアーティスト(芸術家)、田中はワーカー(労働者)。投球を芸術家の作品のように捉え、その過程にこだわるダルビッシュに対し、田中は結果的にアウトになれば何でもいいという考えで、組織の中で自分の役割を果たすことに徹しています」

 実際、ダルビッシュの芸術家肌は随所に感じられる。

「性格がストイックで、求める水準が高いからか、味方のエラーに不満顔で唾を吐いたり、打ち取っていても自ら納得できなければ首を傾げたりするシーンはよく見られます。昨年、交代を命じられた際、監督に続投を直談判したことがあったが、こうした態度はチームメートにはわがままに見られる」(同前)

 では田中はどうか。近著に『無敗の男―田中将大』(大和書房刊)があるスポーツジャーナリスト・古内義明氏はこう話す。

「田中は1年目ということもあり、まずは捕手のサインを信じて投げるというスタンスです。投げたい球種についてはベンチで通訳を交えて捕手とよく会話して、アピールしている。組織の中に溶け込んでこそ、自分の要求も伝わりやすいと捉えているのです」

 また、古内氏によれば、田中とダルビッシュにはもう一つ大きな違いがあるという。“処世術”だ。

「田中は小学生時代には坂本勇人(現・巨人)、楽天では岩隈久志、WBC日本代表には松坂大輔やダルビッシュ、そして今は同僚に黒田博樹がいるなど、常にその側には目標となる人物がいました。それを乗り越えてNo.1になっていくのが、田中の処世術だったのです。

 一方、所属するチームでは常に唯一無二の存在感を求められ、我が道をゆくのがダルビッシュのこれまででした。いわば天才肌の宿命ともいえます」

※週刊ポスト2014年5月30日号

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