綾戸智恵が語る 介護で母親にオムツをはかせて気づいたこと

NEWSポストセブン / 2014年6月1日 7時0分

 介護生活におむつは切り離せない。歌手・綾戸智恵さん(56)は、2004年から母の介護を続ける。今でこそ母の「下のお世話」も手慣れた綾戸さんだが、当初は苦労の連続だったと語る。

 * * *
 もう10年以上も前の話ですけどね。当時レコード関係のとってもエライ方にすごくお世話になってまして。その方が体調を崩されて、鼻から管を入れて酸素を送り込むやつあるでしょ、アレを使い始めたんですよ。

 で、その方が「俺はこんなのつけるようになったから業界を去る」って言い出したんです。その時は「えらいもったいないことおっしゃいますなぁ」って思ったんです。そんなこと言わんと、酸素ボンベ引っぱりながら仕事すればええやないですかって……。

 その後、私は認知症の母親の介護をするようになりました。母におむつを穿かせるようになってはたと気付いたんです。

 あの酸素ボンベも母のおむつもおんなじやって、どっちも必要だから身に付けるもんで、決して恥ずかしいものやあらへん。寒いからコート着るのとおんなじ。楽しく生きていてやりたいことがあるなら、コートを着るようにおむつを使うべきやね。

 でもまぁ、とくに男性はプライドみたいなもんが邪魔するらしいですね。尿漏れがあってもなかなか使おうとしないっていいます。

 うちの母だって、最初は戸惑いましたもの。でもね、「これ穿いておいしいお寿司食べ行こか」って誘ったら「うん」いうて穿いてくれました。ただ穿いてくれって言うんじゃなくて、楽しいことをしたいから穿いてちょうだいってお願いすれば案外スムーズかもしれませんね。

 今年89歳の母は実家が九州です。だからお墓参りっていうと九州旅行になるんです。でも車椅子生活だから大変です。もっぱら飛行機です。でも、どんなにでっかい飛行機でも車椅子が入るトイレはない。困りますわ。

 ここでやっぱりおむつが助けてくれるんですよ。

 ついこないだも羽田から福岡空港まで行きました。ユニ・チャームのパンツ型のおむつを穿かせて、その中に尿漏れパッドを3枚重ねで装着してね。

 九州までの2時間の旅を成功させましたよ。お空の上でおしっこ出ちゃったら濡れたパッドを一枚ずつ外していく。そして福岡の飛行場でおむつも取り替えました。これで空の旅OK(笑い)。あれがなかったら母は墓参りさえできないんです。

 でも、これも10年間の介護生活があったからこその経験値ですよ。

 例えばわたし、10年にいっぺん倒れてるんですよ。世間では介護疲れだって騒がれたけど。まぁそう言えばそうやね。

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