蒼井優「事前の役作りは標高3000mに上がったら吹き飛んだ」

NEWSポストセブン / 2014年6月8日 7時0分

「怖い、というぼくの悪い評判がすでに映画業界にいきわたっていたので、今回の仕事はむしろ楽でした」

 そう豪快に笑うのは、映画『春を背負って』で2度目の監督に挑戦した木村大作さん(74才)。悪い評判とは、長年日本映画界の第一線で活躍してきた監督の妥協しない姿勢と、前作『劔岳 点の記』がもたらしたもの。同作は、雄大な自然とそれに翻弄されながらも仕事を成し遂げようとする人々の姿を描きヒットした。だが、過酷な冬山での撮影という厳しい状況以上に、妥協なく取り組む監督の姿勢が、怖いという風評になっていたのだろう。

「それを承知で、松山ケンイチさん(29才)や蒼井優ちゃん(28才)はじめ、みんながこの映画に参加してくれた。実は松山さんと優ちゃんの出演が決まる前から、“当て書き”といって、彼らを主人公に想定して脚本を書いていたんです。だから彼らに断られたら、この映画はなかったね」(木村さん・以下「」内同)

 物語の主な舞台となるのは、標高3000mを超える立山連峰に実在する山小屋。景色の美しさ、崇高さ、厳しさは格別だ。

「ある時、優ちゃんが“それなりに役作りをして撮影に向かったのだけど、3000mに上がったら、そんな計算は吹き飛んだ”と言うから、ぼくは、“今の気持ちはどうなの。その気持ちを表現するだけでいいよ”と言ったんです」

 大自然の中では、俳優も自然体で立ち向かうしかない、ということだろう。山小屋の休日シーンで、日光を浴びながら布団を干したり、髪を洗ったりする蒼井の屈託のない笑顔が印象に残ったが、それこそ監督の狙った自然の笑顔だったのだ。

 主人公の父を演じた小林薫(62才)は、脚本を読んで、「これは我慢の映画ですね」と言ったそうだが、監督は、その言葉に心を動かされた、と語る。

「ぼくは“頑張る”という言葉は好きじゃない。だから、普通なら“頑張ったね”と言うところを、“よく我慢したな”という台詞にしたんです。実際、ぼく自身が誰よりも我慢したと思います(笑い)」

※女性セブン2014年6月19日号

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