スバル「新300馬力スポーツカー」で垂涎ブランドになれるか

NEWSポストセブン / 2014年8月12日 7時0分

 ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)など、動力源にモーターを使うエコカーばかりが注目されがちな国内の自動車市場。だが、あえてエンジン車の“走り”を追求して独自のブランドイメージを築こうとしているのが、「SUBARU」の富士重工業だ。

<SUBARUが本気で作った、新しいスポーツセダン。スバルにできるすべてのイノベーションを駆使して、スポーツドライビングの新しい可能性を示す>

 同社のHPにこんな強気の宣伝文句が並ぶのは、8月25日に発売する新型車の『WRX S4』。

 まだ車体のデザインはもとより、細かい性能はベールに包まれているが、今年3月より北米で投入されているベース車の『WRX STI』は、早くも高級スポーツ車としての地位を確立し、生産が追い付かないほどの人気となっている。

 もともと、スバルにとってWRXは思い入れの強い車種だった。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が語る。

「富士重工はスポーツカーメーカーではありませんが、昔から全輪駆動(AWD)技術に造詣が深かかったので、長らくラリーの世界で名を馳せてきました。

 1990年代前半には未曾有の経営危機でモータースポーツからの完全撤退も噂されましたが、諦めずに開発した『インプレッサWRX』が後に世界ラリー選手権(WRC)で3連覇し、海外で高いブランド力を得るきっかけをつくりました」

 結局、2008年にWRCからは撤退することになるが、海外の熱狂的な“スバリスト”が抱く「速いクルマへの憧れ」は衰えることなく、同社を新型WRXの開発へと突き動かした。前出の井元氏が続ける。

「BMWやVWなどヨーロッパメーカーが得意とするスポーツセダンは、初めから時速250kmで走ることを前提に開発され、高い馬力を感じさせないほど乗り心地に優れています。

 ただ、スバルも決して負けていません。インプレッサで培ってきた長年の努力が実を結び、新型WRXは海外ではBMWの『Mスポーツ』にも引けを取らない性能と高評価を受けています」

 日本で発売間近の「WRX S4」も300馬力以上のパワーを誇りながらも、価格は手の届きやすい300万円台~と噂されているため、カーマニアたちの垂涎の的となることは必至だろう。だが、問題はスポーツ車の魅力が一般ユーザーにまで浸透するかだ。

「国内でスバルの人気が高まっているのは、1にも2にも自動ブレーキ装置の『アイサイト』が支持されているから。もちろんWRXにもアイサイトは標準装備されるので、安全性能を入り口に走りの楽しさや快感をいかに伝えられるかにかかっています。

 なにもスバルは速さばかりを追い求めているわけではありません。開発陣が常に目指しているのは“バランスのいいクルマづくり”です。

 パワーがあろうがなかろうが、そのクルマが一番バランスのいい状態で動かせるための工夫を詰め込む。仮に運転する楽しさを損なうようなら、燃費効率も最低限で抑える。こうした“スバル独特の世界観”がユーザーニーズと合致すればWRXも受け入れられるでしょうね」(井元氏)

 富士重工は念願だった世界販売100万台超えが目前で、売上高・経常利益ともに3年連続で過去最高を見通すほど好業績に沸いている。5月に発表した中期経営ビジョン「際立とう2020」ではさらなるブランド力の向上を掲げている。

「スバルブランドの今後を占う意味でメルクマール的なモデルになる」(井元氏)といわれている新型WRX。果たしてどこまで際立つことができるか。

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