政治醜聞 新聞・TVが報じられぬのは権力との癒着構造のため

NEWSポストセブン / 2014年11月2日 7時0分

 安倍政権の「政治とカネ」追及は、そのほとんどが週刊誌の報道に端を発している。新聞・テレビの取材記者のほうが圧倒的に多いのに、なぜ週刊誌ばかりがスクープするのか。

 理由は「大メディアの記者が無能だから」だけではない。彼らは「スキャンダルを書きたくない」のである。「政治とカネ」の最大の恥部は政治権力と大メディアの癒着構造にある。

 10月10日19時15分。東京・赤坂にある高級中華料理店『赤坂飯店』の個室。内閣記者会(記者クラブ)に加盟する新聞・テレビ各社の官邸キャップが一堂に会した。安倍首相を囲む「オフレコ懇談会(オフ懇)」だ。お開きとなる21時頃まで安倍首相は意気揚々と政権の成果を演説し、記者たちは豪勢な夕食に舌鼓を打ちながら拝聴した。

 複数の関係者の話をもとに、その一端を紹介する。

記者:「今後の経済動向は?」
安倍:「アベノミクスが効いて、株価はこれから上がっていくよ」

 実質賃金は14か月連続で低下し、円安で物価も上昇、国民生活は逼迫しているのに、それを突っ込む記者はいない。

記者:「臨時国会では女性活用が目玉になっています」
安倍:「政権の看板の1つでもあるからね。内閣改造で5人の女性を入閣させたし、これを契機に女性が社会で活躍できる道が開ければいいと思っているよ」

記者:「(松島みどり)法相のうちわ問題の対応は考えていらっしゃいますか」
安倍:「彼女には“今後は注意するように”とちゃんといってあるから大丈夫だよ」

 従順な大メディア記者に囲まれて余裕綽々(しゃくしゃく)で受け答えする安倍氏だったが、その直後に『週刊新潮』の報道で小渕優子氏のスキャンダルが発覚。安倍首相がちゃんといった甲斐はなく、松島氏も辞任した。目玉の女性閣僚2人が就任からわずか1か月半で消えた。

 言いたい放題でひとり悦に入る安倍氏の言葉に、厳しい質問を切り返すこともなく、うなずくだけの各社キャップの姿は喜劇でしかない。きっと“総理と高級店でメシを食ってるオレ”に自分でうっとりしていたのだろう。こんな体たらくだから大メディアは安倍政権の追及に後ろ向きだ。

 読売は22日付朝刊1面トップで〈政府・与党 停滞国会解消へ全力 野党抵抗 重要法案に遅れ〉とブチ上げた。追及する野党の攻勢で〈法案審議は政府・与党の想定よりも遅れており(中略)今国会成立が厳しくなってきている〉と報じ、早々と追及の手仕舞いを呼びかけた。

 日経も同日、編集委員が〈みんなして「政治とカネ」に迷い込む危うさ〉と題したコラムを電子版に掲載。〈肝心の政策論議をほったらかしにして、大臣の首を取ることに熱中している〉として野党の姿勢に疑問を投げかけた。なぜ大新聞はこうも安倍政権に甘いのか。

 冒頭のオフ懇の会食費は、1人1万円はくだらない。通常、総理との懇談会費用は「官房機密費か、時に首相の事務所から支出されることもある」(官邸関係者)という。

 各社の官邸キャップは安倍首相から高級中華を奢ってもらったのか? 内閣記者会に取材すると、「質問に答える義務はない」と回答を拒否した。スキャンダル大臣と同じ反応なのが笑える。

※週刊ポスト2014年11月14日号

NEWSポストセブン

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