パクリ遊園地勤務の記者「中国の権利意識はまだまだお粗末」

NEWSポストセブン / 2014年11月27日 16時0分

 中国のパクリ遊園地、山東省煙台市蓬莱にある「欧楽堡夢幻世界(英語名・ユーロパーク)」に“キャスト”として潜入したジャーナリスト・西谷格氏。試用期間を終えて本採用なら月給1500元(約2.7万円)という条件で働き始めた同氏は「演芸部」に配属され、1日目にパレード用の振り付けを教わった。ちなみに同遊園地の入場料は200元(約3600円)である。

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 2日目は午後から出演することができた。いよいよデビューだ。小人の着ぐるみを希望と訴えていたのだが、「もっと背が低くないとダメ」と却下されてしまい、小人の前で行進するピエロ役を演じることになった。
 
 ブルーの燕尾服のコスチュームを着用し、ドーラン、マスカラを塗り、口元に紅を引くと、自然と気分が高揚している自分がいた。
 
 パレードが始まると、白鳥のフロート(山車)に乗った白雪姫風の女性と王子様を先頭に、ダンスミュージックに合わせて振り付けを披露しながら園内を半周する。笑顔で観客たちに手を振ると、みな楽しそうに写真を撮っていてやりがいを感じる。

 パレード終点の広場に到着すると、スピーカーが音割れするほどの大音量で韓流ポップスやクラブミュージックが流れ出す。小人たちはノリノリで、観客を巻き込み最後は全員が輪になってぐるぐると回転。遊園地らしからぬ大団円のフィナーレだった。
 
 ダンスが終わると撮影タイムで、客たちはピエロや7人の小人たちと記念撮影。小人の着ぐるみは人気が高く、ひっきりなしに客が寄ってくる。そんな客の中には明らかなミッキーマウスのパロディーTシャツを着ている人もいた。
 
 3日目の休憩時間に園内のゲームセンターをのぞいてみたが、クレーンゲームの景品にはサンリオのけろけろけろっぴ、ゆるキャラのふなっしーとおぼしきぬいぐるみがわんさか。壁にはディズニーアニメ、『カーズ』のイラストが大きく描かれている。これについて同僚の女性に問題ないのか聞いてみた。
 
「問題ない。だってコピーなんてそこらじゅうにあるじゃない。訴えられる可能性はないわよ」
 
 やはり、中国は中国だった。来年は上海で本家本元のディズニーランドがオープンするのだが、それについては「知らない。興味ない」の一言。こんな田舎町からすれば、上海など外国も同然なのだろう。中国と一言でいっても、一括りにはできない。
 
 その後も7人の小人の着ぐるみを着るチャンスはなく、3日目の終わりに部長に「上海に戻る用ができた」と伝え退職した。試用期間ながら、3日分の給料として200元(約3600円)が支払われた。払ってくれたこと自体、なかなか良心的だが、3日働いて1回の入園料分だと考えると複雑な気持ちになる。
 
 パクリ遊園地での勤務を終えて分かったことは、中国は権利に対する意識は国全体としてはまだまだお粗末ということだ。「ミッキーマウスはダメだけど7人の小人はオーケー」という中途半端な判断基準は、経済大国でありながらも先進国にはなれないでいる今の中国を象徴しているようにも感じられた。(了)

※SAPIO2014年12月号

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