武田鉄矢 そこにハンガーがあったからアクションに生かした

NEWSポストセブン / 2014年12月5日 16時0分

『3年B組金八先生』での坂本金八で先生役のイメージが強い武田鉄矢だが、原作も手がけた映画『刑事物語』シリーズも人気が高い。『刑事物語』で名物となったハンガーを使ったカンフーアクションが生まれた当時について語る武田の言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる連載『役者は言葉でてきている』からお届けする。

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 武田鉄矢が、転勤を繰り返す不器用な人情派刑事・片山を演じた映画『刑事物語』は全五作を数える人気シリーズとなった。

「俳優というのは、ある役が当たるとその反対側に行きたがるんですよ。これはもう、本能です。天使に請いながら、悪魔にも尋ねてみることで人間の表裏を描きたいというかね。

『金八先生』が巨大だから、みんないつも僕に先生を重ねてくる。ですから僕はそれを脱ぎ捨てた役をやりたかった。カッとなったら何回も殴るようなね。

 それで、体の関係込みの純愛ものがやりたくなったんです。片山という刑事は正義を貫いている。でも、女にモテないから、女とやれそうな状況になると抱きついてしまうんです。そうでありながら、どこかで懸命に愛を手探りしている。汚れた手で手探りをしているという。そういうドラマをやってみたかった。

 ですから、僕はどこまでもシリアスでした。でも、スタッフから『武田鉄矢だから、笑いも入れていこう』と言われ、そういう風になっていったんです。笑っているのに気付くと涙が出ている。この二つの感情が味わえると、お客さんも満足してくれると思うんですよね」

『刑事物語』は毎回の終盤で武田がハンガーをヌンチャク代わりにしたカンフーアクションを展開し、見せ場となった。

「『刑事物語』を思いついたのは、『金八』の第二シリーズを撮影している時でした。加藤優(直江喜一)が逮捕される時、僕は刑事に突き飛ばされて廊下に惨めに転ぶ。その時に、こんな役は嫌だと思ったんですよ。で、立ち回りをやりたくなりました。

 ある時、優の撮影が長くてロケバスの中で待機していたんですが、そこに衣装さんのハンガーがあった。それを回しているうちに『ハンガーで人をぶったたくと面白いだろうなあ』って、何気なく思ったんですよね。

 立ち回りも本気でやりました。殴ったり蹴られたりは当然で、使うとバレるから、防護するものを何も使わないでね。『武田さんも殴られてください。それから、痛みに慣れてください』とか言われながら、撮影所で毎日、蹴り合いをしていました。アクションシーンの撮影は最後の方に回して、僕がいつケガしても対応できるようにやりました。

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