『ゆとりですがなにか』 若手俳優の役者力を堪能できる

NEWSポストセブン / 2016年5月7日 16時0分

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番組公式HPより

 今やレストランやホテルの予約をする際にサイト上の口コミを判断基準の一つとすることが当たり前なように、ネットで様々なレビューを目にできることで、ドラマの見方、評価も変わってきている。さて、今季の作品群はどうか。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指針を提供する。

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 春ドラマの見所や味わい所が、浮かび上がってきた。「視聴率」が必ずしもドラマの魅力を反映しているわけではないことはみなさんご承知のはず。数字だけを手がかりに選ぶのはあまりにも残念。なぜなら、今期の春ドラマは目を見張る役者力、息をつかせない脚本力、突出した演出力といった魅力が発見できるから。

 そこで役者力、脚本力、演出力の3つの視点から、オススメのドラマを挙げてみると……。

●役者がブッ飛んでる賞

 この人、何にでもなってしまえるカメレオン。何にでもなりきった上で、しかも、その人にしかない個性がにじみ出てくる。天性の演技力は、訓練や工夫をも超えていく? 『ゆとりですがなにか』(日曜22時30分日本テレビ系)で主役を演じている安藤サクラを眺めていると、そんなことを考えさせられてしまう。

 このドラマ、クドカン「初の社会派ドラマ」。自虐的に“ゆとり”と口にするゆとりのないアラサーの男と女が、仕事に恋に友情に迷う姿がいきいきと描き出される。

 宮下茜を演じる安藤サクラは、高円寺あたりに棲息するアラサーOL。仕事はできるが、私生活はグダグタ。生活臭とリアル感漂う役をやらせたら、この人の右に出る人はいない。

 恋人役の岡田将生が、また光っている。ごく普通の、どこにでもいそうなちょっと優しいサラリーマン。人物像を的確に演じ切っているだけでなく、手先から口元、細かいところまで芝居する丁寧さ。そして思い切りの良さ、大胆さをあわせ持つ。平凡な一サラリーマンがこれほど愛しく見えてくるのは、初めてかも。

 脇を固める役者がまた味わい深い。柳楽優弥が、躍動感に満ちている。水を得た魚のように。松阪桃李、吉田剛太郎がそれぞれ、どこかトンマな愛すべき人物を体現している。ほれぼれしながら役者を眺めてしまう。タイプの違う役者の味わいを堪能できるドラマだ。

●脚本が凝っている賞

 息をつかせぬ展開、ハラハラドキドキ。どんでん返しに、思わぬ伏線。疾走していくストーリーが魅力的なのが『僕のヤバイ妻』(火曜22時フジテレビ系)。

 セットは安作りだし、テーマは「仕組まれた殺人」というベタさ。それなのに展開に呑み込まれて1時間があっという間に過ぎていく。どこかの局みたいに、金さえかければいいというわけでは「ない」ことを、思い知らされる楽しさ。まさに脚本力のたまもの。視聴者を翻弄する心理サスペンスは『ようこそ、わが家へ』等の脚本も担当した黒岩勉の書き下ろし。

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