松平健 暴れん坊将軍はなぜ斬らずに「峰打ち」なのか

NEWSポストセブン / 2016年12月2日 16時0分

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『暴れん坊将軍』について語る松平健

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、役者・松平健の代名詞ともなった時代劇シリーズ『暴れん坊将軍』の八代将軍・徳川吉宗に決まったころと、吉宗となったばかりのころの思い出について松平が語った言葉からお届けする。

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 松平健は1978年から代表作ともいえるテレビ時代劇『暴れん坊将軍』(テレビ朝日)に主演している。本作では、主人公の八代将軍・徳川吉宗を演じた。

「『天守物語』という舞台で坂東玉三郎さんの相手役のオーディションがありまして。最後の三人まで残ったんですが、落ちたんですよ。その時の新聞をテレビ朝日のプロデューサーが見ていて、面接を受けることになったんです。

 撮影は東映京都で、大変怖いイメージがありました。ただ、当時僕の所属していた勝プロには川谷拓三さんがいたんですよ。それで勝先生が『おい、拓。頼むぞ』ということで川谷さんが根回しをしてくれたんです。

 それでもヤクザ映画を撮っていた頃ですし、鶴田浩二さんに若山富三郎さんもいましたから、怖い雰囲気はありました。主役といっても自分は下で。

 一番の大悪役で出てくださる方たちも映画でも大役をされてきてテレビに出てくださっているわけなので、それこそ出番待ちの時は椅子を持っていって『どうぞ』って。最初の頃は自分は座っていられなかったです。レギュラーの共演者も北島三郎さんに有島一郎さんですから。

 勝先生も、『暴れん坊』が始まって最初の頃は現場に来てくださいました。将軍のメイクをする時に指で直してくださることもありました。それから『テレビは普段の生活が映るからな。お前は将軍なんだから、赤ちょうちんの居酒屋じゃなくていい店で遊べよ』とも言われました。それで随分お金を使いました」

 吉宗は旗本姿に身をやつし、市井に出て事件を解決する。そして敵を倒す際は、叩き斬るのではなく峰打ちにしている。

「二役みたいなものですよね。将軍の時は所作を大事にしました。その前から歌舞伎を見て、偉い人の座り方や立ち振る舞いを参考にしています。旗本の時は現代劇でいいと思っていました。町人と付き合う時は対等な方がいいと思い、所作はあまり気にしませんでした。普段通りを心がけましたね。

 峰打ちは、『将軍は人を斬らない』という発想でした。ただ、『打つ』だけでは画にならないので、決めるところだけは打つ動きをしましたが、他は普通の『斬る』立ち回りと同じ動きをしています。刀の反りが逆ですので、斬って抜ける動作が大変でした。

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