スギ花粉症 花粉成分含む「緩和米」を食べる治療法に期待

NEWSポストセブン / 2017年3月13日 7時0分

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画期的な治療が続々登場

 日本人の4人に1人が罹患しているとされるスギ花粉症は、今はまだ症状を軽減する対症療法が主流だが、最近では根治も可能な「舌下免疫療法」が注目を集めている。日本医科大学教授で同付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長を務める大久保公裕さんが説明する。

「スギ花粉の原因抗原を含むシダトレンを、毎日少量ずつ、舌の裏側の付け根に垂らしていくことで、長期間かけて少しずつアレルギー反応を抑えていく方法です。花粉症のアレルギーに深く関係するリンパ節は鼻の奥にあるので、舌下からエキスを吸収させることで届けやすくなる」

 花粉の中のアレルギー原因物質を少しずつ体内に取り入れる免疫療法は1960年代から行われてきたが、従来は皮下注射によるもので、患者の負担が重く、治療を行う病院も限られていた。

 その点、舌下免疫療法は自宅でも簡単にできるのが大きなメリットだ。2014年に公的医療保険の適用が始まったばかりだが、口コミなどを通じて広まり、2016年末までに6万2000人が治療を受けているという。ただしスギ花粉シーズンは治療を始められないので、「試してみたい」という人は来シーズンからになる。

「治療期間は2年ほどかかりますが、7~8割の人が効果を感じています。しかも一度治れば、その後は何もする必要がありません」(大久保さん)

 舌下免疫療法が根治につながる理由は、免疫細胞の一種である「制御性T細胞(通称・Tレグ)」の働きを活発にすることにある。Tレグは1995年に大阪大学の坂口志文教授が発見したもので、「世紀の発見」といわれている。

 アレルギー反応は免疫の働きが過剰になることで起こるが、免疫の働きが過剰になった時に、その働きを制御するのがTレグだ。スギ花粉を一定量体内に取り入れ続けると、体はスギ花粉を“外敵ではない”と認識し、免疫の攻撃を止めるTレグを作る。

 同じ仕組みで、スギ花粉の成分を含んだ特殊な米を食べることによる治療法への期待も高まっている。米には胃で消化されず腸まで届くたんぱく質が含まれているため、そこにスギ花粉のアレルゲンを蓄積させれば、腸に直接届く。花粉症の人がそれを毎日食べれば、体内の免疫システムはアレルゲンを“異物”と認識しなくなり、アレルギー反応を抑えられるというのだ。

 この「花粉症緩和米」の臨床研究を行っている大阪大学免疫アレルギー内科の田中敏郎さんが言う。

「舌下免疫療法ではスギ花粉の原因物質を体内に入れることでIgE抗体が症状を悪化させたり、アナフィラキシーを起こす危険もあります。しかし、花粉症緩和米のたんぱく質は小さいのでIgE抗体には結合せず、副作用の心配がほとんどありません。マウスの実験ではすでに免疫の働きを抑え、IgE抗体が減少するというデータが出ています。将来的には、花粉症だけでなく、ダニ、食物などのさまざまなアレルゲンを米に蓄積させることで、特定のアレルギーを抑えることも可能になると思います」

 花粉症緩和米は2020年の実用化を目指しているという。

※女性セブン2017年3月23日号

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