カフェ併設やイベント開催で生き残り図る書店は「交流の場」

NEWSポストセブン / 2017年4月19日 7時0分

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カフェ、ギャラリーを併設した新店が登場(荻窪「Title」HPより)

 本離れが加速する昨今。毎年、全国で500店以上の書店が閉店しているという。しかし、その一方で新たな試みに挑戦する書店も少なくない。

 2015年7月、多くのファンに惜しまれながらリブロ池袋本店が閉店した。その店員だった辻山良雄さんが独立し、2016年1月に開いた書店が『Title』だ。東京・荻窪駅から歩いて10分ちょっとという決して便利ではない立地。青いテントが張られた店は、2階建ての古民家を3か月かけて改装した。1階は書店でその奥にカフェがあり、2階はギャラリーになっている。

 書店が厳しい状況に置かれているなかで、なぜあえて新規開業に踏み切ったのか。

「本が売れないなかでも売れている本はありますし、本を読みたいと思っている人はいますから。でも、これまでと同じことをしているだけでは潰れてしまうのは、現実を見ればわかっていました」

 そう話す辻山さんが目指したのは、「単に本を買うにとどまらない体験ができる店」。

「インターネットで本が買える時代に、お客さんがわざわざ遠い場所まで足を運ぶのは、ものを買いたいから、欲しいからというよりは、お店に行くという体験をしたいからだと思います。ならばカフェやギャラリーなども、足を運んでもらえるきっかけになるんじゃないかなと」(辻山さん)

 カフェのメニューには食事やケーキもあり、カフェだけを目的に来る客もいる。もちろん2階のギャラリーだけを見て帰る客もいる。それでも真ん中にあるのは、“本と出会ってほしい”という思いだ。

「お客さまと本との出会いを邪魔しないというのが店の基本姿勢。カフェを含めて3~4時間いるお客さんもいます。本との時間をゆったり過ごしていただいて、お気に入りの一冊を見つけてもらえれば嬉しいですね」(辻山さん)

 単に本を売る店ではない、書店としての新しい形──実は、これこそが本来の“町の本屋”の姿なのかもしれない。

『まちの本屋』(ポプラ社)の著書がある岩手県盛岡市のさわや書店フェザン店の田口幹人店長の実家は2007年に閉店するまで、岩手県西和賀町で小さな書店を営んでいた。20坪ほどの店内には化粧品や駄菓子、雑貨、おもちゃ、土産物も並んでいたという。

「店の繁盛のピークはぼくが小学生の頃で、レジの横には応接セットがあり、そこに町の人がみんな集まって、お茶を飲んだりしていました。店が終わると、そのまま酒を飲み始めたり。子供心に、本屋っていい場所なんだなぁと思っていました」(田口さん)

 さわや書店では今年5月に新しい店舗をオープンさせるが、そこには田口さんの“町の本屋を復活させたい”という思いが強くにじんでいる。

「イベントスペースを作って、いろんな分野の専門家にトークショーをやってもらう。例えばビール会社の社長にビールについて話してもらい、ビール関連の書籍を買うとそれが入場券になる。そんな試みもやってみたい。昔のようにもう一度、コミュニケーションの場としての書店を目指したいですね」(田口さん)

※女性セブン2017年4月27日号

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