カード優遇社会に違和感 ETC、レンタカー、歌舞伎鑑賞なども

NEWSポストセブン / 2017年11月2日 7時0分

 その影響は生活の身近なものにも及ぶ。妻に先立たれ、現在一人暮らしのD氏(78)は、最近になってカード払いでなかったために損していたことに気付いたという。

「電気、ガス、水道代などの公共料金はすべて郵便局で現金で払っていました。しかし最近、結婚した娘から、『カード払いにしたら、1%分のポイントが貯まって後々使うことができるのに、いつまで現金で払っているの!』と言われたのです。毎月キッチリ払っているのに、現金払いというだけでなぜ損をしなければいけないのか、まったく腑に落ちません」

 実はこのD氏はカードを持っている。持っているが使いたくないという中高年が現金族の大多数なのだ。

◆持っていても使わない

「シニア層は幼い頃から『借金はダメ』と教えられた世代なので、カードで購入して、後から請求されること自体に抵抗があります。お金がなくても商品が買える、という概念そのものに不道徳感さえ抱いている。個人情報の漏洩や、不正に利用されて身に覚えのない高額の請求が来るという実害を心配していることもあり、シニア層のカードへの不信感は根強いままです」(カード事情に詳しい消費生活評論家の岩田昭男氏)

『島耕作』シリーズの著者で漫画家の弘兼憲史氏(70)は、今後も現金族を貫く構えだ。

「カードも持っていますが、昔の人間なのでどこか信用できないところがあって、基本的に現金で支払うようにしています。一度たまたまマッサージ店で着替えの間にカードを抜き取られ、スキミング(*)の被害に遭ったことがあるんです。カード会社から急に『仙台でパソコンを10台買っていませんか』という連絡があって。もちろん身に覚えのないものだったのでカード会社が補償してくれましたが、やはりカードはどこかから情報が漏れるのだと不安になりました。

【*特殊な装置で他人のクレジットカードなどに書き込まれている情報を抜き出し、それを基にした偽造カードを使って行なう犯罪のこと】

 アマゾンなどのネットショップで簡単に買い物できるのも知っていますが、自分のカード情報を入力して買い物する気がしない。必要があったらアシスタントにお願いして、彼にお金を払っています。多少不便でも現金払いを続けたい」

 無駄で損な抵抗だと分かっていても、こうなれば現金族も意地なのである。

※週刊ポスト2017年11月10日号

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