武田鉄矢と三原じゅん子、梅沢富美男が語る「暴力」

NEWSポストセブン / 2017年12月29日 7時0分

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世の中「マニュアル人間」ばかりと嘆く梅沢富美男

 かつて体罰が容認されていた時代もあったが、今ではそれは許されない。もちろん、体罰が子供の心に深い傷を与える可能性がある以上、それを軽々しく肯定することはできない。 しかしそれでも、「体罰=絶対悪」ではないはずだと俳優の梅沢富美男は指摘する。

「非常に難しい問題だけど、すべてを体罰として禁止してしまえば、マニュアル通りにしか動けない人間ばかりになります。“殴られるかも”という思いがあるから子供たちは頭を使って考えるようになり、“生きる知恵”が育まれるわけだから。体罰を辞さなかったうちの親父は『学校では1+1=2になるけど、世の中に出たら1+1が3や4になる。だから社会勉強をしろ』と教えてくれました。学校で教わった四角四面のきれい事は社会に出たら通用しない場合もあるんです」

 今の世の中を見回すと、「マニュアル人間」ばかりだと梅沢は嘆く。

「ぼくが差し入れを買いにマネジャーと2人でハンバーガー屋に行き、ハンバーガー40個とコーラ40杯注文したら、店員から『店内でお召し上がりですか?』と聞かれて、思わず『バカヤロー! そんなはずないだろ』って怒鳴ったよ。

 1人でコンビニに行って酒を買ったら、店員から『年齢確認をお願いします』とレジのスクリーンを指差されたので、『一体いくつに見えるんだ。コノヤロー!』と腹が立ったこともある。臨機応変に発想することができない連中ばかりで嫌になるよ」

 体罰を悪とする風向きが強まるとともに、ドラマ『金八先生』からも子供に手を上げるシーンが消えていった。武田鉄矢は、今の子供たちに拳をもって指導することは難しいと指摘する。

「現代の子供たちは、体罰を理解する体力も知識もないと思います。今はとにかく痛みを避ける『無痛社会』。演技の最中にポンと頭を叩かれただけで、『親からも叩かれたことはない!』とパニックになる若い俳優も多い。しかし、人生から痛みを一切排除してしまうと、非常につまずきに弱い人間になってしまいます。もちろん、それを愛のない体罰の言い訳にしてはならないのですが…」

 武田の言うところの「無痛社会」の果てには何が待っているのだろうか。

『金八先生』に教え子として登場していた三原じゅん子は痛みを知らない子供が増えることで、「加減」の仕方がわからなくなることを心配している。

「昔はよく、近所のおじさんおばさんにゲンコツをもらっていたし、お友達のご両親からもお尻を叩かれていた。その頃の大人たちは、どのくらいの強さで何度叩けば痛い思いをしないのか、加減を知っていた。その痛みを知ることで、子供も加減の仕方を覚えた。

 だけど今の子供たちはそうした痛みの実感を知る経験が少ないので、子供同士のけんかでも、加減がわからない。痛みがバーチャルなものになっているから、命を落とすような体罰やいじめに至ってしまうのではないか」

 この世から“愛の鉄拳”がなくなることで、本当に怖いのは、人間の“生きる力”が失われることではないかと武田が問いかける。

「快適、安心、安全という感情だけで日々生活していると、“人生における困難を突破する力”がなくなる。人間には無様な負けをしたり、意味もなく理不尽なことをされて落ち込む経験が必要です。なぜなら、落ち込んだり絶望したりした後しか希望はやってこないから。最初から希望にあふれた人はいないし、そんなのは希望じゃなくて妄想です。だから私たちは痛みや苦しみも含めたすべての感覚を日々味わう必要があるのです」

※女性セブン2018年1月4・11日号

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