所有から利用へ モノに対する日本人の価値観が変化した

NEWSポストセブン / 2018年1月16日 7時0分

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経営コンサルタントの大前研一氏

 新製品にとびつき、すでに所有しているものでもどんどん買い換える。日本人が従来持っていた所有のあり方に変化が訪れている。経営コンサルタントの大前研一氏が、即時買い取りアプリなどに象徴される、価値観の変化について解説する。

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 身の回りの物をすぐに現金化できる「即時買い取りアプリ」(別名「質屋アプリ」)が話題になっている。たとえば、フリーマーケットアプリ「メルカリ」が昨年11月に「メルカリNOW」を始めたところ、買い取り希望が殺到し、わずか17分でサービスが一時停止するという事態になった。

 もともとこのサービスで先行していたのは、バンク社のアプリ「CASH」である。こちらも昨年6月のサービス開始直後に利用が予想をはるかに上回り、16時間でサービスを中止せざるを得なくなった。8月にサービスを再開して以降も人気は高まり、バンク社は資金力や組織力を強化するため11月に大手ネット企業DMM.comの傘下に入ったが、その際、従業員たった6人のスタートアップ(新しいビジネスモデルを開発し、短期間で急成長を目指す会社)が70億円で買収されたことで大きな話題になった。

「メルカリNOW」と「CASH」は、いずれも売りたい物の写真をアプリで撮影してブランドとコンディションを入力するだけで査定額が提示され、それを承諾すれば即入金される。そして自宅へ集荷にきた宅配業者に売却した物を引き渡したら取引完了、という手軽さが人気の理由である。

 これまでもヤフーの「ヤフオク!」やDeNAの「モバオク」などCtoC(個人間取引)のネットオークションがあった。そこにメルカリなどのフリマアプリが参入した。

 メルカリはCtoBtoCのエスクロー(*)にしたことで利用者が拡大し、今やアプリのダウンロード数は日本だけで6000万、全世界では1億を突破している。

【*エスクロー/売り手の個人と買い手の個人の間に企業が介在して取引の安全を担保する仕組み】

 ネットオークションサイトやフリマアプリが普及した結果、中古品の争奪戦が激化して、若者たちのクローゼットや箪笥や下駄箱は空っぽになってしまった。

 かつての日本は“新品崇拝文化”で、何でも「新しい物がよい」という発想だった。このため家の中の収納スペースからあふれるほど新しい洋服や靴やバッグなどを買っていたし、住宅も新築志向が根強かった。

 しかし、それも今は昔、である。もともと若者の間には古着を好む文化もあったが、今やフリマアプリなどの隆盛によって、多くの人は中古品に対する抵抗感がなくなっている。結果、中古品が品薄になって争奪戦が巻き起こっている、というのが現状だ。

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