新潟女児殺害、社員寮で「たった一人の独身者」の風評被害

NEWSポストセブン / 2018年5月21日 7時0分

写真

現場付近はメディアが殺到(共同通信社)

 新潟市西区の線路上で小学2年生の大桃珠生さん(7)の遺体が見つかった事件で5月14日、小林遼容疑者(23)が死体遺棄などの容疑で逮捕された。日本中が注目した凶悪事件だが、逮捕までの1週間で、現場ではその存在を報じられない“別の被害者たち”が生まれていた。

◆パトカーが駐まってるぞ!

 逮捕されたのは、被害女児の自宅から100メートル、遺体遺棄現場からもわずか70メートルほどの所に住む小林容疑者だった。事件当日の5月7日は大型連休明けだったが、小林容疑者は勤務先の電気工事関連会社を無断欠勤していた。社長はこう証言する。

「その翌日には警察から連絡があり、小林君が在籍しているか、今日は会社に来たのかと聞かれました。それから毎日、警察からは連絡があり、逮捕の当日朝8時頃にも“彼を確保して話を聞いている”と伝えられました」

 逮捕までの1週間、被害女児を事件当日の朝に追いかけていたという「黒い服を着たサングラスの男」、現場付近で目撃されたという「白いワゴン車」など、不審者情報が続々と報じられていたが、いずれも事件とは無関係だった。

「小林容疑者は、4月にも車で女子中学生を連れまわした県青少年健全育成条例違反容疑で書類送検されていたこともあり、事件直後から捜査線上に浮かび、マークされていた。ただ、それは逮捕されてからわかったことで、現場に殺到したメディアは『サングラスの男』や『白いワゴン車』などの情報に右往左往し、近隣住民の疑心暗鬼も高まって、現場は異様な雰囲気になっていた」(地元紙記者)

 そうしたなか、現場の住宅街では何人もの“容疑者候補”が浮上したという。メディアから最も“有力視”されてしまったのが、地元の銀行に勤めるA氏だった。

 14日、「近所に住む20代」の重要参考人に事情聴取という情報が出ると、A氏の暮らす社員寮には記者やテレビクルー、カメラマンが殺到。小林容疑者が遺体遺棄・損壊の疑いで逮捕されたことが明らかになる直前まで、“犯人扱い”だった。

「とはいえ、何か“証拠”があったわけではない。遺棄現場からも近い社員寮で、A氏はただ一人、独身での入居者だった。単身向けのアパートなども見当たらない地域で、夜中までA氏の部屋だけ灯りが漏れていたため、目立ってしまったようです。さらに寮の駐車場に警察車両が駐まっていたので、“警察に監視されている”という誤解が広まってしまった。有力な犯人候補として、記者が張りついて部屋に出入りする姿を撮影したり、関係先に聞き込みを始める社もあった」(現地で取材した記者)

 見かねたA氏の勤務先の銀行が11日には報道各社に対して、風評被害につながる取材を慎むよう要請するFAXを送った。さらに逮捕当日にも、「重要参考人が当行の行員ではないかとの問い合わせをいただいておりますが、当人は本日、朝から勤務地に出勤しており、通常の勤務を行っております」とのFAXを再度送る事態となった。同行の広報担当者は、こう話した。

「間違った方向に報道がいってしまわないようにその都度対応をさせていただきました。警察に対しては(寮の)駐車場を提供して協力しておりました。(行員が疑われたことは)そのために起こったのかもしれません。従業員の保護を最優先して動きました」

※週刊ポスト2018年6月1日号

NEWSポストセブン

トピックスRSS

ランキング