羽生結弦の国民栄誉賞 異例の「4か月お預け」と異論噴出

NEWSポストセブン / 2018年6月7日 7時0分

 そうした経緯もあり、授与のプロセスはまず首相が授与の「検討の指示」をするところからスタート。次に内閣府が功績の確認を行い、最後の段階で行われるのが「有識者からの意見の聴取」だ。

「候補者が賞にふさわしいかどうかを各界の有識者に尋ねます。有識者は人数も名前も非公開です。候補者の業界に詳しい識者や学識経験者、経済団体幹部など、十数名だといわれています。

 羽生選手の場合、正式決定まで異例の時間がかかったのには、この有識者の中に“授与には慎重であるべきだ”という意見が少なからずあったからとしか考えられません。3か月もかかったわけですから、意見が紛糾して“受賞見送り”の可能性もあったのでしょう」(永田町関係者)

◆イチローは「未熟者だから」

 実際、羽生の受賞には「検討の指示」の段階で反対の声が少なくなかった。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう話す。

「国民栄誉賞は『到達点』として引退後や没後に授与されるならまだしも、20代前半の羽生くんのように若い選手にとっては、今後の長い選手生活でプレッシャーになりかねません。そもそも、国民栄誉賞はその成り立ちからして、時の首相の“人気取り”の手段であって、大した権威があるわけではない。政府はもっと選手の今後の人生も考慮してほしい」

 過去に国民栄誉賞を辞退したスポーツ選手が2人いる。1人はイチロー選手(44才)。「現役の間はもらう立場にない」「未熟者だから」と2度のオファーを固持した。

 もう1人は阪急(現・オリックス)で活躍し、通算盗塁数の世界記録を更新した「世界の盗塁王」福本豊さん(70才)だ。本人が辞退した理由をこう説明する。

「辞退したのは国民の見本になれる自信がなかったからです。ぼくはパチンコはするし、麻雀もするし、たばこも吸うし。自分には相応しくない賞だと思いました。それぐらい、重く、大きな賞で、広く国民に愛され敬われるような人物でないといけないという、ぼくなりの解釈があった」

 若くしてそうした賞をもらうことは名誉なことである一方、羽生にとっても競技生活のみならず、プライベートでも重荷になるという意見だ。

「羽生選手の人気が、政治的に利用されている」と指摘するのは、ジャーナリストの大谷昭宏氏だ。

「落ち目になった政権が人気回復を狙って国民栄誉賞を利用することは過去にもありました。安倍政権が過去最低の支持率である今回の授与のタイミングは言わずもがな。アスリートの努力の結果が政治の道具にされるのはご本人にとっても不本意でしょう」

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