文部官僚「裏口入学」事件 あの学園を連想させる構造的問題

NEWSポストセブン / 2018年7月24日 16時0分

 そしてこのとき、目下、受託収賄の罪に問われている佐野本人もまた、統括審議官から官房長に昇進した。官房長は国会対応をはじめ、文科省内と政権中枢との調整役を果たす。まさにそんな微妙なタイミングで、加計学園が文科省の補助金給付対象事業の私大に選ばれているのである。

 東京医大の裏口入学事件の温床になった私大のブランディング事業。そこには、安倍政権のおかげで悲願の獣医学部新設にこぎ着けた加計学園がいち早く手を挙げ、政府肝煎りの政策でライバルを蹴落として選ばれたことになる。加計学園は獣医学部の新設問題で、「依怙贔屓の末の裏口入学みたいだ」と揶揄されたが、現実に起きた裏口入学事件とも、奇妙な共通点が見え隠れする。

◆誰が影響力を行使したか

 文科省の科学技術・学術政策局長だった佐野は、事務次官へ昇りつめる一歩手前だったといわれる。1959年山梨県塩山市(現・甲州市)生まれ。早大理工学部の大学院を卒業し、1985年に科学技術庁入りした。文部省と科技庁が合体した文科省内で、元文部大臣小杉隆の娘婿でもある佐野は科技庁出身のエースとして、出世街道を歩んできた。

 内閣府科学技術政策担当大臣だった笹川堯や尾身幸次の秘書官を経て、2005年には私立学校法人担当の高等教育局私学部参事官(課長級)に就任。2016年6月に官房長に就いたあと、東京医大の応募した文科省のブランディング事業にかかわり、東京地検に逮捕される羽目になる。

 教育行政を司るエリート官僚がはまった私大入学を巡る汚職事件は、極めて珍しいケースだ。ごく簡単に振り返ってみる。

 文科省の佐野のほか逮捕されたのは、東京医大とのパイプ役を果たした医療コンサルタントの谷口浩司(47)。贈賄側である東京医大前理事長の臼井正彦(77)や学長の鈴木衛(69)については、捜査に協力的だとして特捜部も逮捕せず、在宅で取り調べを進めてきた。特捜部が賄賂と認定した裏口入学について、逮捕後、佐野本人は否定しているが、贈賄側の臼井たちはあっさり認めている。

 また特捜部が賄賂の見返りと位置付ける文科省の「私立大学研究ブランディング事業」は、3月から6月まで公募を受け付け、10月までに文科省が大学を選ぶことになっている。その大学選定については、私大の理事や学長など11人の「私立大学研究ブランディング事業委員会」と26人の教授たちからなる「審査部会」が個別の研究計画を採点し、決定する仕組みだ。表向き、第三者の審議会が補助金を与える大学を選定する建前になっている。

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