8場所連続休場・稀勢の里と7場所連続休場・貴乃花の違い

NEWSポストセブン / 2018年7月25日 7時0分

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いつまで“延命”が許されるのか(時事通信フォト)

 名古屋場所で連続休場は8場所に伸び、横綱としてのワースト記録を更新した稀勢の里が、いよいよ窮地となる。稀勢の里をかばう“論拠”の一つとなっていたのが、元横綱・貴乃花(現・貴乃花親方)が7場所連続休場を経て土俵に復帰したという“先例”だ。だが、稀勢の里と貴乃花では事情が異なっている。

 貴乃花は2001年5月場所で右ひざの大怪我を負いながら、ライバルの横綱・武蔵丸を破って22回目の優勝。しかしその影響で翌場所から7場所連続で「全休」し、2002年9月の復帰場所で再び武蔵丸と優勝争いをして12勝3敗の成績を残した。

「一方の稀勢の里は最近3場所に限っては全休ですが、今年初場所では4つ、昨年11月場所では5つの“金星配給マシーン”と化して途中休場している。この“ちょっと出て負けたらすぐ休む”という“職場放棄”を、フランスに渡って手術し、懸命にリハビリに励んでいた貴乃花と同列に論じることがそもそもおかしい」(担当記者)

 中堅親方が嘆く。

「最高位である横綱は“弱くなれば王座から落ちる”のではなく、“辞めなければいけない”。それほど横綱の権威は重い。だからこそ、昇進には品格・力量ともに厳しい審査がある。

 ところが今の状況は、引退に関して明確な基準がないのをいいことにダラダラと“延命”が許されている。“19年ぶりの日本人横綱には寛大”という協会のご都合主義が招いたことではないか」

 これまで、横綱には引き際の美学があった。前述したように、貴乃花は7場所連続全休からの復帰場所で12勝をあげた。1年以上のブランクにもかかわらず準優勝したことに世間からは拍手が送られたが、貴乃花自身はむしろ「衰え」を痛感したと周囲に漏らしていた。翌場所の全休を挟んで2003年1月場所の8日目に引退を決意した。

 優勝31回を誇るウルフこと元横綱・千代の富士は、左腕の怪我による休場明けの1991年5月場所の初日に18歳の貴花田(現・貴乃花親方)に寄り切りで敗れた。3日目に新小結の貴闘力に敗れたところで引退を表明したが、その夜の引退会見での「体力の限界、気力も無くなり……」と腹の底から絞り出した口上は、「相撲の取り口同様、素早く鮮やかな引き際だ」と称賛された。

 そういった先達との違いはあまりに大きい。

◆親方たちの「ご都合主義」

 親方衆の間でも、角界の将来を憂う様子は見えない。

「次期理事長を狙う春日野親方(元関脇・栃乃和歌)は、同じ出羽海一門の関脇・御嶽海の快進撃にご満悦。弟子の栃ノ心ともども協会の看板力士に育ってくれれば一気に勢力拡大を図れます。対抗は協会ナンバー2の尾車親方(元大関・琴風)で、二所ノ関一門の高安になんとか初優勝させたい。土俵の充実がないまま、角界勢力図の書き換えにばかり力を入れているように見える」(ベテラン相撲担当記者)

 揚げ句、上位陣のいない場所で優勝した力士が次の横綱・大関候補となる──そんなことを続けていれば、この国技に未来はない。

※週刊ポスト2018年8月3日号

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