高校野球 球数制限より「予選から7回制に変更すべき」論

NEWSポストセブン / 2018年8月29日 7時0分

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甲子園で881球を投げた金足農・吉田(写真:藤岡雅樹)

“金農フィーバー”に沸いた夏の甲子園100回大会。だが、その陰で突きつけられた大きな課題が、投手の「球数制限」だ。〈大エースが潰れてしまうほどの連投や球数は制限すべき〉〈一部のエリートを守るだけの球数制限は必要ない〉──賛否両論の球数制限について、同志社大学政策学部教授の太田肇氏は、こんな提案をする。

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 夏の高校野球全国大会の余韻がなかなか冷めない。今年の大会は100回記念の名に負けない盛り上がりを見せたが、その主役はなんといっても金足農業高校、そしてエースの吉田輝星選手である。雪国の公立農業高校が都会の名門私立高校をつぎつぎに倒しての躍進に涙を流し、決勝まで一人で投げ抜いたエースの豪腕ぶりに拍手喝采した人は少なくなかった。

 一方、フィーバーの裏側で批判の声も上がった。吉田選手が大会を通じて投じた881球、秋田予選から数えると1517という球数には、「苛酷」という言葉がピッタリする。

 成長途中の高校生にとって、これだけの球数はあまりにも負担が大きく、へたをすると将来の野球人生を台無しにしかねない。国内外から届く批判の声を受け、この問題には野球関係者だけでなく政治家も関心を示すなど、波紋は広がっている。

 唱えられる改革案のなかでひときわ注目されているのは、アメリカのように球数を制限してはどうかという案だ。たしかに一見すると合理的なようだが、つぎのような弊害もある。

 まず、球数を制限すると投手は余分な気を遣うので投球に専念できなくなるだろうし、試合の駆け引きに使われる恐れもある。

 もっと大きな問題は、球数を制限すると各チームは複数のエース級投手をそろえなければならないので、選手層の薄い公立高校や地方の高校は圧倒的に不利になる。野球エリートが集まる大都市の常連校ばかりが勝ち残ることになるだろう。

 ところで、今年の大会が突きつけた問題は球数だけではない。異常な猛暑のなか、炎天下で試合をすることの危険性を指摘する声も大きかった。幸いにして大きな事故やアクシデントは発生しなかったものの、脱水症状からか選手の足が引きつるトラブルが相次ぎ、それが勝敗に影響したとみられるケースもあった。

 炎天下で応援する生徒や観客の健康も心配だ。温暖化で猛暑は年々厳しさを増しているだけに、はたしていまのまま炎天下で大会を続けることができるだろうか。

 さらに、高校野球が過熱化するにつれて練習や試合の負担も大きくなっており、学校の授業や勉強との両立についても真剣に考えなければならない。ちなみに大学スポーツ界では不祥事を契機に「学業優先」への改革が進められようとしている。

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