三億円事件告白小説“真犯人”からのメールと専門家真贋分析

NEWSポストセブン / 2018年10月16日 7時0分

 捜査のプロたちはどう読んだのか。元公安警察官の江藤史朗氏が明かす。

「犯人グループに女性がいるというのはちょっと面白いですね。当初から女性の関与は言われていました。というのも、犯行に使われた車の中にイヤリングが片方だけ落ちていたんです。だから女性が乗っていたのだろうという推測です。

 ただ、“犯人です”というなら、もっとディテールを書いてほしかった」

『三億円事件の真犯人』の著書をもつジャーナリスト・殿岡駿星氏が続ける。

「事件発生から10年とか、時効から20年とか、そういった節目に過去にもこういった告白はあった。作中のSという少年が犯人という説は根強いです。だが、この手記はSが犯人ではないという。この説には私も同意するところがあり、新しい視点ともいえます。ただ、細部の記述が少ない。本物と言うなら、強奪されたナンバーが判明している五百円札を見せてもらいたい」

 前出の近藤氏は、Sの恋人だった女性に接触した経験がある。小説で言えば、まさに実行犯だった京子だ。

「作品中では大学生となってますが、当時は高校生で、ちょっとした不良少女でした。それにSは『省吾』となっていますが、実際にはSは苗字のイニシャルなんですよ。そういった点を考えると、信憑性に欠ける」

 前出の大谷氏も、冷静な見方に終始した。

「今回目新しいのは事件をリアルタイムには知らない若いネットユーザーの中で登場したということ。これまで言われ尽くしたことであっても、新鮮で興味を持って読んでくれたということでしょう」

“秘密の暴露”はなかったということなのだろうか。前出の江藤氏はこんな言い方をする。

「犯人しか知りえない情報として、Sの父親の警察手帳を残していた、というのは大胆な発想ですね。一見、真に迫っているように思えますね。ただ、専門家から見るとそうじゃない。

 警視庁の制服警官は当時も今も警察手帳を個人保管していません。勤務中以外は署で管理されていて、出勤時に身につけ、退勤時に置いていく。持ち帰るということはありえません。警察手帳がなくなったら翌日には大変な騒ぎになります。アイデアは面白いけど、ミステリー小説としては少し詰めが甘い」

 本誌は、真相を聞くべく投稿サイトを通じて「白田」にコンタクトをとった。すると〈インタビューはお受けできかねます〉というメールが返ってきた。

“真犯人”は、また消えてしまった──。

※週刊ポスト2018年10月26日号

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング