金正日氏死去なのに慰安婦問題持ち出す李明博氏は外交音痴か

NEWSポストセブン / 2012年1月6日 7時0分

金正日総書記の死亡情報を50時間以上もキャッチできなかった日米韓。ましてや韓国大統領は死亡当日、来日して慰安婦問題を野田首相にぶつけていた。南北統一を目指しながら北の三代世襲を許した韓国は、金正日という独裁者の死をあまりに軽く考えているのではないのか、と産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏は警鐘を鳴らす。

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金正日の死亡は、北朝鮮の発表によると12月17日午前8時半だったという。この日、韓国の李明博大統領は“シャトル外交”で日韓首脳会談のため日本に向かい、翌18日まで京都に滞在した。首脳会談では慰安婦問題で長広舌し、日本を非難した。金正日死亡はもちろん19日の発表まで知らなかった。日本の野田首相も同じだったから、そのことでとくに非難されることはないかもしれない。

しかし北朝鮮で“異変”が生じているというのに、日本相手に迂遠きわまりない慰安婦話とは。浮世離れというか外交音痴というか。日韓外交のどうしようもない立ち遅れを象徴する場面だった。

韓国も日本も米国も、外部世界は今回、金正日の死を50時間以上もキャッチできなかった。北朝鮮の軍事独裁体制はそれほど「限りなく不透明」だ。今後、北朝鮮は金正恩のためには「何でもあり」と考えておいた方がいいだろう。

それにつけても、李明博大統領の「慰安婦問題」などという過去への突然のこだわりは困ったものだ。金正日死亡に際し早速、野田首相に電話し「対北協力体制」を確認していたが、日本非難の舌の根も乾かないうちに「協力を」では、相手は力が入らない。日韓の迂遠ともいうべき外交摩擦は、日韓離間を狙う北朝鮮の思うツボではないか。

韓国でも2011年、エジプトやリビア、イエメンをはじめとする、中東における自由と民主主義を求める“ジャスミン革命”がもてはやされた。カダフィやムバラクなど長期独裁政権の崩壊を歓迎し、称えた。

北朝鮮の独裁者・金正日も“自然死”ではあったが消え去った。しかし韓国では「北朝鮮にも自由と民主化を」の声はなぜか弱い。政府も政党も知識人も黙っている。一部の保守団体や脱北者団体が辛うじて声を上げているに過ぎない。

韓国は2011年、「貿易1兆ドル突破!」で沸いた。経済発展と民主化を同時達成した唯一の途上国といい、「現代世界史の奇跡」と誇っている。

しかし同じ民族として「南北統一」を民族の至上課題としながら、北に世襲独裁三代を許し、同じ民族なのにその「自由と民主化」に無関心、冷淡というのでは「民族としての力量」が疑われよう。

2012年は韓国も政権交代期だ。金正恩・世襲独裁政権を見据え、その自由と民主化に向け、韓国国民はどんな新政権を選択するのだろうか。

※SAPIO2012年1月11・18日号



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