テレビ局が自社に密着 禁断番組『さよならテレビ』の中身

NEWSポストセブン / 2018年10月22日 11時0分

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”撮る側”が”撮られる側”に(「さよならテレビ」より)

「カメラ回すのやめろっていってんだ! やめろって!」──テレビ局内の報道フロアに怒号が響く。地方局の東海テレビが「開局60周年記念」と銘打って制作したドキュメンタリー番組が、テレビ界を騒然とさせている。

『さよならテレビ』と題された90分番組は、9月2日に東海エリアでローカル放送された。ディレクターとして制作を取り仕切ったのは東海テレビの土方宏史(ひじかた・こうじ)氏。同氏は指定暴力団の構成員たちに密着し、その現実を克明に描いたドキュメンタリー『ヤクザと憲法』(2015年に東海テレビで放送後、映画化)を手がけたことで、脚光を浴びた人物である。

『さよならテレビ』は、土方氏が2016年11月から今年6月にかけて、自身の所属する「東海テレビ報道部」を取材対象にした番組だ。土方氏は企画意図をこう語る。

「メディアをドキュメンタリーの取材対象にしたいと考えている同業者はいるかもしれませんが、自分たちにとって不都合なことも流さなくてはならないから、他局は取り上げてこなかった。東海テレビのドキュメンタリーは“タブーなし”がモットー。社員がどうしても『組織の論理』を優先してしまうといった現実を見せたかった」

 取材する側から“される側”になったテレビマンたちは、戸惑いや苛立ちを隠さない。冒頭の怒号は、報道部のミーティングの様子を撮影する土方氏に対し、編集長が放った一言である。他のデスク陣も「気になってしょうがない」と不満や怒りをぶつけていく。

 そんななか、〈マイクは机に置かない〉〈デスク会は撮影許可を得る〉〈放送前に試写を行う〉などの取り決めをし、土方氏は粘り強く取材を続けていく。やがて様々な問題が徐々に浮き彫りとなっていく。

◆部長は“サラリーマン”か

 番組では、東海テレビの局員が社会科見学で来ている子供たちに対して「報道の使命」として「権力を監視するのは私たちの役目」だと説明する場面がある。

 その後のある日、ニュース番組で「共謀罪」を取り上げることになった。外部スタッフのベテラン記者は、メディアによって「共謀罪」か「テロ等準備罪」か、表現が異なる点に着目し、土方氏のカメラにこう語る。

「単純にいえば、共謀罪という言葉を使っていないメディアは批判する気がまったくない。権力を監視するよりも支える方を選んでいるっていうこと」

 記者は国会での強行採決を報じるニュース原稿に、「共謀罪」と書き込むが、最終原稿では「テロ等準備罪」の文字に変わっていた。それを指差し「ここ直していただいて」といい、自嘲気味に笑う。

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