被災地住民「一人の親友より沢山の友人が必要だと気付いた」

NEWSポストセブン / 2012年1月11日 7時0分

ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などにも取り組んでいる。震災後には被災地をサポートする活動を行っている鎌田氏は、「絆」という言葉についてこう語る。

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2011年は、つながりながら、助け合いながら、必死に生きようとした年だ。「絆」という言葉がよく聞かれた。絆は、人と人との断つことができないつながりをいう。でも、絆は、ときに自由を妨げたりもするので絆に縛られ過ぎないようにしたいものだ。

震災後、南相馬市の巡回診療で出会った家族は「おばあちゃんがいるので、置いては逃げられない」と家族で留まる決意をした。別の家では、寝たきりのおばあちゃんが、息子と嫁に「孫を連れて逃げろ」と命令を下した。自分が足手まといになるので家に置いていけというのである。

息子さんたちは、おばあちゃんの枕元に、たくさんのおむすびを置いて出て行った。出ていく家族は、どんな思いだったのだろう。その後、おばあちゃんは、避難所の体育館に連れていかれ、みんなが面倒をみていたという。

寝たきりのおばあちゃんがいたから逃げられなかったのも家族の絆であり、孫が大切だから私を置いて逃げろというのも家族の絆である。もちろん、日本中からも支援がよせられた。世界中から応援に来てくれ、たくさんの絆ができた年でもあった。

携帯電話やパソコンでつながっているだけでは、孤独は癒せない。自分が困難の中にいるときに、話を聞いてくれる人が、傍にいてくれるかどうかが大切なのである。今回の震災で息子を亡くした女川町の母親が言った。

「いままで子どもには、どんなときでも話ができる親友を1人持つことが大事だと言ってきました。でも、今回震災に遭って、あいさつできる隣近所があること、煮物を持っていったり、もらったりする仲間が必要だと気付いた。これからは、たくさん友人がいるほうがいいんだよと、子どもたちに言うつもりです」

※週刊ポスト2012年1月13・20日号



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