ノーベル賞で注目、がん治療薬オプジーボは何が画期的なのか

NEWSポストセブン / 2018年10月29日 7時0分

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「夢の特効薬」とも呼ばれる(共同通信社)

「はじめは、少し声がかすれる程度だったんです。次第に咳が出るようになりましたが、軽い風邪だからそのうち治るだろうと、忙しさにかまけて放置していました。しばらく経っても、どうにも咳が止まらないので近くのクリニックに行くと、すぐに大きな病院で精密検査を受けるよう言われたんです。

 肺がんでした。左肺に大きな腫瘍があり、すでに手術できる状態ではない、と。抗がん剤治療を始めましたが、その後転移も認められ、医者からは“もう打つ手がない”と言われました。そんなとき、これまでの治療法とはまったく違う、がん免疫治療薬があると知ったんです」

 東北地方に住む50代の男性は、3年前に肺がんが見つかった。医者からははっきりと余命は言われなかったが、暗に身の回りの“整理”をするよう伝えられたほどだった。

「投与を始めてから3か月後、肺の腫瘍は縮小し、転移したがんには消失した部位もありました。現在は、以前と変わらない日常を送れています。今生きられているのは、がん免疫治療薬を選んだからです」

 この男性の命を救った薬の名前は、「オプジーボ」だ。医療関係者の間では知られた存在だったその名が一躍脚光を浴びたきっかけは、10月1日、京都大学の特別教授・本庶佑氏(ほんじょたすく・76)のノーベル医学生理学賞受賞が決定したことだった。

 これまで、がん治療においては「外科手術」と、抗がん剤などを用いた「化学療法」、そして「放射線治療」が三本柱と言われてきた。その3つを、がんの部位や進行具合によって組み合わせるのが一般的だった。

 本庶氏の研究が開発に大きく貢献したオプジーボは、そこに加わる第4の「がん免疫治療」の薬として国内外から大きな期待を集めている。

◆免疫細胞のブレーキを外す

 がん免疫治療とは、大まかに言えば人間がもともと体内に持っている免疫機能を正常に働かせることで、がんを治そうとする考えに基づいた治療だ。医療ジャーナリストの松井宏夫氏が解説する。

「健康な人でも、体内では毎日5000個のがん細胞が生まれていると言われています。それでも、『がん』と診断されないのは、免疫細胞ががん細胞を異物とみなして攻撃し、死滅させているからです。

 免疫細胞が正常に機能している場合は問題ありませんが、がん細胞が学習し、自分を攻撃する免疫細胞にブレーキをかけるようになる場合がある。すると、体内ではがん細胞が爆発的に増えてしまい、がんが進行します」

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