ノーベル賞で万能薬イメージ、がん免疫治療薬の注意点

NEWSポストセブン / 2018年10月31日 16時0分

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ノーベル賞を受賞した本庶氏(時事通信フォト)

 京都大学の特別教授・本庶佑氏(ほんじょたすく・76)がノーベル医学生理学賞受賞を受賞したことでも広く知られることになったオプジーボなどのがん免疫治療薬。オプジーボは、『免疫チェックポイント阻害薬』の1つに分類される。

 全身の倦怠感、吐き気、脱毛──抗がん剤の辛い副作用に、治療を断念するケースは多かった。

 対するオプジーボとキイトルーダなどのがん免疫治療薬が“夢の治療薬”と呼ばれる理由に、副作用の少なさを挙げる声もある。ただ、当然ながら副作用のない薬はない。その現実もまた、認識しておく必要がある。医療ジャーナリストの松井宏夫氏が解説する。

「投与を受けた後に重篤な状態に突然陥るケースもあります。臨床試験が始まったばかりのころ、間質性肺炎で亡くなった患者さんがいます」

 日本臨床腫瘍学会によると、皮膚障害や肺障害、甲状腺機能亢進症、ギラン・バレー症候群、ぶどう膜炎といった副作用も予想されている。

“夢の薬”というフレーズが独り歩きすることは、決して望ましくない。

 オプジーボの販売・製造元である小野薬品工業も、患者・医療関係者向けサイト「オノオンコロジー」のなかで同薬による副作用の周知に努めている。サイトでは、間質性肺炎をはじめ、とくに注意すべき副作用の初期症状などを詳しく紹介している。投与を受けるかどうかを判断するにあたっては、医師や専門家の話を聞くとともに、患者やその家族がそうした公開情報をもとに、リスクについても理解を深めることが肝要となるだろう。

 同サイトでは、オプジーボの投与中や投与後24時間以内にアナフィラキシー、発熱、悪寒、発疹、めまい、ふらつき、頭痛などの症状が現われることについても、注意を促している。

◆製薬会社からの注意喚起

 がん治療に詳しい腫瘍内科医の日本医科大学教授・勝俣範之氏が話す。

「ある患者さんから『“肺がんのステージ1なので手術しましょう”と担当医師に言われたのですが、手術はしたくありません。肺がんですし、オプジーボを使えませんか』という相談を受けたことがあります。

 ステージ1の肺がんは現在、適用範囲外になっています。つまり、オプジーボを使うことの有用性を示す科学的根拠はないんです。にもかかわらず、“夢の新薬”というイメージが先行しているために、全額が自己負担となる自由診療でいいからと、適用外のがんに使いたいと希望する患者さんが出てきているのです」

 がん免疫治療薬の適用範囲は、まだ限られている。適用範囲外であれば、効果が立証されていないだけでなく、予期せぬ重篤な副作用が起こることも十分考えられる。

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