EUから学ぶ「移民」の教訓はネオナチなど極右勢力の台頭

NEWSポストセブン / 2018年11月9日 7時0分

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今夏、スウェーデンの首都ストックホルムでネオナチがデモを行った Reuters/AFLO

 国民的議論がないまま、日本はなし崩し的に「移民国家」となりつつある。先行するEUでは国を分断する大問題に発展しており、専門家たちは警鐘を鳴らす。

 10月12日、政府は入管難民法などの改正案骨子を示した。これまで大学教授や弁護士など、高度な専門人材以外に外国人の就労目的の在留資格を認めなかった方針を大転換し、人手不足の深刻な分野に2つの在留資格を設けて長期間の滞在を許可する。介護や農業、建設など単純労働を含む十数業種での導入を検討するとされる。熟練の外国人労働者には家族の帯同を認め、在留期間更新の上限を設けないため、事実上の永住が可能になる。

 現在日本にいる外国人労働者は約128万人。政府は2025年頃までにさらに50万人超を受け入れる方針だ。「政府は実質的な移民政策に舵を切った」と指摘するのは、経済アナリストの森永卓郎氏だ。

「従来、安倍首相は『移民は認めない』と主張してきたが、『人手が足りないから賃金の安い働き手を確保してほしい』という経済界や地方自治体の強い要望があって、方針転換せざるを得なかったのでしょう。しかし安い労働力としての外国人の受け入れは天下の愚策であり、将来に必ず禍根を残します。

 まず安い労働力が大量に流入すると、賃金が圧倒的に低下します。いまは人手不足のため飲食店のアルバイトの時給が1000円を超えていますが、外国人労働者が流入したら2~3割は一気に下がる。年金だけでは暮らせずアルバイトをしている高齢者は収入が減少するどころか、職を奪われる可能性もあります。

 一方で安い労働力を得た企業は機械化などの省力投資のインセンティブを失うので生産性が向上せず、日本の国際競争力が失われます」

 不法滞在の不安もある。現在、国内では外国人技能実習生の失踪が相次ぎ、17年は過去最多の7089人が姿を消した。背景には劣悪な受け入れ実態があるとされる。

「この先、単純労働の外国人が大挙して訪日すれば、技能実習生と同様に職場から逃げ出し、不法滞留者となる怖れがあります。職を失った彼らがアンダーグラウンドに流れると犯罪の温床になる。政府は新制度で受け入れ態勢を強化するというが、奴隷のような職場環境がどこまで改善されるか不透明です」(森永氏)

 新制度では事実上の永住が可能になり、社会保障コストの激増も予想される。経済ジャーナリストの荻原博子氏は社会保障制度の維持が困難になる危険性を指摘する。

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