秋ドラマの珍現象 “アンダー7”4作に熱烈なファンが続出

NEWSポストセブン / 2018年11月18日 7時0分

“アンダー7”4作の共通点は、「スタート前から厳しい声を受けやすい設定」と「思い切った挑戦作だったこと」の2つ。

 放送前から『ハラスメントゲーム』には「ハラスメントをゲームにするな」、『中学聖日記』には「義務教育でありえないし、タイトルが成人向け映画みたい」、『僕らは奇跡でできている』には「何が奇跡なのかわかりにくい」、『黄昏流星群』には「中年の不倫を見て何が楽しいのか」などの厳しい声があり、「1話から見てもらえない」という悲劇を招いてしまいました。

 ただ、4作ともに、そんな厳しい声が飛ぶことを承知で挑んだ意欲作であり、「安易に刑事・医師・弁護士ドラマやシリーズ作に頼らないぞ」という気概の表れとも言えるでしょう。それらのような「リアルタイムで見てもらいやすい=視聴率を獲得しやすい」タイプの作品ばかりではなく、「まったく別のジャンルで視聴者を楽しませよう」というポジティブな姿勢を感じます。

◆“トップ3”は『水戸黄門』タイプばかり

 制作サイドが連ドラの多様性を考え、視聴率狙いだけに走らなかったことが、4作への熱心なファン獲得につながっているのではないでしょうか。

 上記にあげた“トップ3”は、いずれも「勧善懲悪」という、かつての『水戸黄門』(TBS系)を思わせる、いい意味で予定調和を楽しむタイプの作品。少し見ただけでわかるシンプルな設定と、毎週同じ結末で裏切られない安心感から、「録画するほどでもないが、サラッと見られる」「ときどき見逃してしまっても大丈夫」と思わせることで視聴率獲得につなげています。

 一方、“アンダー7”4作の熱心なファンは、そのような予定調和の世界観に「つまらない」「違うタイプのドラマが見たい」と感じ、挑戦の姿勢がうかがえる作品に希少価値を見いだしているのではないでしょうか。しかし、この熱心なファンは「リアルタイムではなく、録画などでじっくり見ることが多いため、視聴率獲得には貢献できない」というジレンマを抱えています。

 現在4作への称賛が増えている最大の理由は、ネットメディアによる低視聴率報道に対する悔しさ。「今どき、みんな録画やネットで見ているから視聴率なんて関係ない」「こんなに面白いのに見てない人はもったいない」などと声をあげることで、自分の好きな作品を守ろうとしている様子が見られます。

 テレビ業界が視聴率という一面的な指標を使い続け、ネットメディアがページビュー狙いでそれを報じる限り、今期のような「視聴率下位の4作に称賛の声が集まる」という珍現象は、今後も起こりうるのではないでしょうか。それは低視聴率を嘆く関係者にとって多少の救いにこそなりますが、「作品が正当に評価されない」というテレビ業界の抱える課題の象徴的な現象とも言えます。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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