暴力団と原発作業業務は今も密接だと原発潜入ライターが語る

NEWSポストセブン / 2012年1月21日 16時0分

「暴力団と原発の繋がり」が噂レベルで語られることはあっても、確たる証拠はなかなか出ない。暴力団関連の記事を数多く執筆するフリーライター・鈴木智彦氏は、その「繋がり」を探るため、震災後に自ら作業員となって福島第一原発に潜入。『ヤクザと原発』(文藝春秋刊)を発表した。そして刊行後、新たな動きに直面した。

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元日、コタツで文庫本を読んでいたら携帯電話が鳴った。ディスプレーに「原発●●」という名前が映し出された。

昨年夏、作業員として就職し、東京電力福島第一原発(以下=1F )に潜入取材した際、私は身分を偽っていた。その時に仲良くなった作業員たちの番号は、名字の上に“原発”の二文字を付けて端末に登録してある。

久しぶりの電話をくれた彼とは東芝系作業員休憩所(通称・シェルター)の喫煙所で意気投合し、何度か飲んだ仲だ。九州からの出稼ぎグループの一人で、鍛冶、溶接、配管などの職人ばかりの8人は、全国の原発を転々としているらしい。年齢は30~50歳代と幅広かった。リーダーは50歳手前の電気屋(溶接工)だ。

「明けましておめでとう! なんねー、鈴木さん、いま替わるばい」

返事をする間もない。相変わらずせっかちだ。懐かしい。今でもはっきり覚えている。「もしもし、あんた、鈴木さん? あの鈴木さん? いつ原発行っとったの? なんで言わんの?」

こちらのダミ声にも覚えがある。いや、忘れてはならない。ああ、なるほど、やっぱりそういうことだったのか……。

「組長、お久しぶりです。ご無沙汰しております」

ダミ声の主は、ネタ元の広域指定団体幹部だった。付き合ってもう10年ほどになるが、そういえば深いシノギの話をしたことはない。思いがけぬ年始の電話により、あの8人がこの組長を経由し、1Fの緊急対応に配備された作業員だったことが判明した。

電話をかけてきた作業員の発注元が払う日当は3万~5万円だったから、平均一人あたり4000円を抜いていると仮定し、組長の不労所得は1日3万2000円である。

グループは60日ほど勤務したはずだから、総額192万円のシノギだ。

「組長、夏にけっこうなボーナス稼いでたんですね。今度ごちそうして下さい」「いまの……喉から手が出るほど欲しい話やったろうもん。あんたがごちそうせんといかんばい」

思わず苦笑いした。たしかにこれは最高のお年玉だ。この事実で、よりいっそう自信を持って断言出来る。暴力団と原発は今でも密接な関係にあり、作業員供給に関して言えば、完全に黒だ。

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