肥満な人ほど脳が小さく、薬物中毒と同様の場合もと脳科学者

NEWSポストセブン / 2012年1月23日 7時0分

人間の「3大欲」は、食欲と性欲、そして睡眠欲だといわれている。今回、そのひとつである「食欲」について解説してくれたのは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもおなじみの脳科学者・澤口俊之氏。以下、澤口氏による解説だ。

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ヒトは、おいしいものを食べると報酬系が活性化し、快感物質であるドーパミンが増えます。“快感”という報酬を予期・期待すればこそ、ヒトは食べ物を探したり採ったりという、面倒で時には危険な行動さえ、進んでするわけです。

もちろん、食べることには限度がありますし、一回の食事で一定以上の食べ物を食べれば、いわゆる「満腹中枢」が働き、報酬系は活性化しなくなります。しかし一方で、おいしいものを食べないと気がすまない、イライラする、うつ的になるなどの症状がでる場合もあります。これは、食べ物中毒や依存といった病気の一種です。

実際、食べ物を食べすぎて肥満になった人の脳は、薬物中毒と同じようになっている場合があります。そのため「肥満者の脳」といういい方があるくらいです。そういう脳をもつ人は、たとえダイエットに成功したとしても、中毒症状からなかなか抜け出せないために、結局、リバウンドしてしまうことが多いようです。

さらにいえば、肥満の度合い(内臓肥満も含みます)と脳重量との間には負の相関があることがわかっています。つまり、肥満な人ほど脳は小さいということです。脳が小さいために肥満になるのか、あるいは、肥満が進むと脳が小さくなるのか、結論はまだ出ていませんが、どうやら後者が正しいようです。

また、おいしい食べ物が体や脳にプラスに働くことは間違いないのですが、その一方で、現代では、おいしいものが容易に手にはいりすぎるということが進化的、脳的に問題になっているといえます。

本来なら、おいしいものはそれなりの努力をして手に入れるべきで、太古の「狩猟」がまさにそうでした。わざわざ火を起こして焼くのも、よりおいしく、(細菌などの感染を防いで)より安全に食べるためだったはずです。そうした努力や能力と深く結びついた形で人類は脳・知能を進化させてきたにもかかわらず、食べ物中毒・依存による肥満で脳が小さくなるとは、まさに皮肉としかいえません。

日本は、肥満の人の割合が先進国の中では最低に近い3%しかいません(アメリカでは30%を超えます)。これには、和食や和菓子の存在が大きく関与しているようです。肥満が気になる人は、「おいしい和食・和菓子」を重視するというのもひとつの方法でしょう。

※女性セブン2012年2月2日号



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