諸見里しのぶ 1打差決着「平成の名勝負」女王争いを述懐

NEWSポストセブン / 2019年1月24日 7時0分

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賞金女王・横峯との差は975万円だった(写真/AFLO)

 トップに立つ者にかかるプレッシャーは、体験した者にしかわからぬ重さだろう。平成21年(2009年)11月29日、女子プロゴルフで横峯さくらと諸見里しのぶが熾烈な賞金女王戦いを繰り広げた。獲得賞金の差はわずか975万円だった。諸見里がそのシーズンを述懐する。

 * * *
 ゴルフ技術だけでなく、人として精神的にも大きく成長できた貴重なシーズンでした。

 6月までは横峯さくらさんが賞金女王争いを引っ張り、8月以降は4勝した私がトップに立ちました。そこで感じたのは、主催者やファンは常に賞金ランク1位のゴルフに期待していること。私もそれに応えたいから頑張り、34試合すべてに出場、一度も予選落ちしませんでした。終盤はトップの選手にしかわからないプレッシャーの連続でしたね。独特な緊張感のなか、最終戦の「LPGツアーチャンピオンシップリコーカップ」を迎えました。

 2位の横峯さんとは540万円差でしたが、ともに1億5000万円超えの争いでした。私が賞金女王になる条件は、優勝か、2~3位の場合は横峯さんのV逸。逆に横峯さんは優勝か、2位でも私が4位以下なら逆転賞金女王でした。私はグランドスラム達成(*)もかかっていたので、最後は勝って賞金女王になりたい気持ちが強かった。

【*日本ツアーの4つの公式戦である「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ(2019年からLPGAウィメンズチャンピオンシップに改称)」、「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」、「日本女子オープンゴルフ選手権競技」、「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」をすべて勝つこと】

 最終日を迎えてトップとは4打差の3位タイ。5位タイの横峯さんには1打リードしていました。

 15番グリーン横のリーダーボードで2組前の横峯さんがトップ、私が1打差であることを確認した途端、ボギー。直後の16番で長いパーパットが残り諦めかけましたが、打った瞬間、ギャラリーの「入れ!」という声とともにスローモーションのようにボールがカップに沈んだのです。鳥肌が立ちました。「応援の声が力になる。弱気になってはダメ。あと2ホールで絶対にバーディを取る」と自分に言い聞かせました。

 17番はバーディ。1打差で迎えた最終ホールの段越え10メートル、上りフックラインのバーディパット。決まれば追いつけましたがラインが少し違ってパー。この瞬間に賞金女王の夢は潰えました。悔しくて、キャディさんの手を握ってグリーン上で泣いてしまったのを覚えています。

 ただグリーン周りには両親や先輩プロなど、一緒に戦ったメンバーがみんないたので、悔しさ以上に「やっと終わった」という気持ちでしたね。それぐらい終盤の試合は精神的に苦しかったです。横峯さんの苦しさもわかっていたので、心から祝福できました。この時に経験した「諦めてはいけない」は、今のゴルフにも生き続けています。

※週刊ポスト2019年2月1日号

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