遺産分割後の賃料債権、賃貸物件を相続した相続人だけが取得

NEWSポストセブン / 2012年2月10日 7時1分

竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「家賃収入があった妻の遺産相続はどうすればいいでしょうか」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
先日亡くなった妻はマンションを所有し、それを貸して家賃収入を得ていました。このマンションの家賃収入も含めて、妻の遺産相続はどのように考えるのがいいでしょうか。家族は夫である私と、私の母と子供2人です。なお、今の私たちの住まいは、私名義になっています。

【回答】
遺言がなく、相続財産は賃貸中のマンションだけという前提で考えます。法定相続人は夫であるあなたと子供2人で、法定相続分はあなたが2分の1、子供はそれぞれ4分の1ずつです。今後、3人で遺産分割協議をして誰が相続するかを決め、決められないときには家庭裁判所に決定してもらうことになります。

それまでの間は、3人が法定相続分の割合に応じて遺産を共有する関係です。遺産共有といって、いずれ遺産分割で解消される過渡的なものですが、その効力は通常の共有と同じです。

賃貸している不動産があるときは、被相続人が死亡する前に発生している賃料債権は、相続財産です。死亡後に支払いを受けたとしても、その分は相続財産になります。ただし金銭債権ですから、遺産分割しなくても、相続人が法定相続分で取得します。

しかし、死亡後の賃料は相続財産ではないので、遺産分割の対象にする必要はありません。遺産分割ができるまでは、遺産共有の相続人が持ち分に応じて確定的に取得し、あとの遺産分割で遺産共有とは異なる分割になっても、取得した効力が影響を受けることはありません。遺産分割後の賃料債権は、賃貸物件を相続した相続人だけが取得します。

ただし、相続人全員が同意すれば、遺産分割前の賃料について遺産分割の対象にし、これを加味して分割することも可能です。なお、賃借人との関係では、遺産共有中、賃借人は相続人のそれぞれに分けて支払うことになります。

しかし、相続財産が他にもあるなど、分割が複雑になる場合、なるべく早く遺産分割することをお勧めします。時間が経つと、分割までの賃料の額も累積し、実質的公平を保つ上で、無視できなくなるからです。

※週刊ポスト2012年2月17日号



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