刑事と公安 仲が悪い理由を公安経験元刑事が語る

NEWSポストセブン / 2019年2月16日 7時0分

 途中でまかれても、その場所を中心に探れば、何らかの痕跡が出てくる。わずかでも先に進めればいい。時間がかかるが、それを繰り返せばどこかの組織にたどり着く。事件が起きて、犯行声明が出れば組織が絞れる。そこで組織を一網打尽にできる」

 これが公安捜査のやり方だ。

「刑事ならそこで押さえるのが基本、現行犯逮捕だ。実行犯をとっ捕まえる。押さえて叩いて、次々と芋づる式に挙げて組織をあぶり出す。公安はなぜ、そこで犯罪をやらせるのか。未遂で終わらせればいいじゃないか。誰かが巻き込まれて死んだら、誰が責任を取るのか。やつらは組織を潰すためには多少の犠牲は云々と言う。ふざけるな!だ。嘘でも誇張でもない」

 警察ドラマではよく刑事と公安の確執が描かれるが、あれは現実なのだ。確執を生む原因は、守るものの違いにある。国民・市民の安心、安全を守るのが刑事であるが、公安は天下国家が第一、国家の安全を守るという大前提がある。

「懸命にやっても、何かあったら捜査員は切り捨てられる。歯車の1つだからね。国家のためにトカゲの尻尾切りさ。上から責任を取れってね。それが今の公安組織だ」

 場合によっては政策や国の機関が絡んだり、国と国との関係がひっくり返る可能性すらある。天下国家を論じるばかりで、捜査員を守ってやらないのが公安なんだと彼は語気を強めた。

「刑事と公安は水と油さ。組織を一気に挙げるのが公安、1人を対象にして最終的に組織全部を挙げるのが刑事。捜査手法が違うんだから、絶対に合うわけがない。

 公安は言われたことは忠実にやる。ここに30台車が並んでいるから調べろと言われれば、几帳面にくまなく調べて報告するが、なぜそこにそれがあるかは考えない。その差がある。俺たちだったら、そんなことやってられるかって言うし、なぜそこにそれがあるかを考えるが、やつらは考えなしだ。公安は情報を調べるやつ、その情報を吸い上げるやつ、吸い上げた情報をまとめて分析するやつと別れているからね。まるで軍隊みたいだろう」

 元刑事は声を潜めた。

「作業と呼んでいる捜査の中には“工作”も含まれている。工作はある目的達成のための手段、方法、戦術などを表していてね。例えば、協力者にするためにあらゆる手を使うんだ。嫌いだね」

 違いは他にもある。

「公安は捕まえた犯人が無罪になったとしても、組織に打撃を与えたという大義名分があるが、刑事は犯人を挙げて有罪にしなければ負け」

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