大腸がん治療 ひと昔前は「腹を切る」選択しかなかったが…

NEWSポストセブン / 2019年3月7日 7時0分

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大腸がんの治療は進化している

 日本人の死因第1位であるがん。これまで長く、「見つけたら切る」が治療の常識だった。外科手術でがんをすべて切除すれば再発の可能性が減るという前提に立ち、「早期発見、早期切除」が大目標とされてきた。

 だが近年、その常識が変わってきている。歳を重ねるほどに「手術を受けない」という選択も有力になってくるのだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。

「加齢とともに、手術自体に体が耐えられないリスク、さらには手術の合併症で後遺症が残ったり命にかかわるリスクは高くなります。がんを治すための『切る』という行為が、かえって余命を縮めることもあるのです」(室井氏)

 例えば、男女合わせた新規患者数が最も多く、男性の罹患者数では2番目となる大腸がん。ひと昔前は“腹を切る”という選択しかなかったが、より患者の負担が少ない治療が一般的になってきた。

 東京都立駒込病院大腸外科部長の高橋慶一医師(56)はこう話す。

「現在、大腸がんの患者が『開腹手術』をするのは、腫瘍が10cmを超えるなどごく一部のケースに限られます。昨年の当病院は9割が『腹腔鏡手術』と、専用のカメラとロボットアームを使う『ロボット支援手術』でした。ステージ0の超早期の患者は、お尻から入れた内視鏡で除去することもあります」

 歳を重ねていれば、治療を取りやめるという判断も有力になってくる。

 2017年に国立がん研究センターが全国のがん拠点病院の症例を集計したデータでは、大腸がんのステージIVで「治療なし」の割合は65~74歳では6.7%だが、75歳以上では14.7%と倍増し、85歳以上では36.1%と3人に1人に達する。

「肛門に近い部分の大腸がんを切除すると排尿障害や性機能障害などの後遺症や、人工肛門になるケースがあります。

 ロボット支援手術や腹腔鏡手術だと神経や肛門を温存しやすく、これらのリスクを減らすことができる。その場合でも、抗がん剤治療や放射線治療は可能です」(高橋医師)

※週刊ポスト2019年3月15日号

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