福島原発 燃料取り出し10年、廃炉まで20~30年必要との推定

NEWSポストセブン / 2012年2月29日 16時1分

 福島原発の事故から1年が経とうとしているが、事故直後から飛び交った「再臨界」「核爆発」「チャイナシンドローム」などの脅威論は、いずれも科学的には可能性がほぼゼロで、本誌はそう報じ続けた。事実それらは起きていない。

 再臨界が起きるには、燃料が等間隔で規則正しく並び、減速材(※1)の役目をする水に浸かっている必要がある。ところが燃料はメルトダウンして格納容器の底に散らばっていたのだから、その可能性は限りなくゼロに近かったのだ。

 核爆発を口にした自称専門家は、それだけでニセモノである。核燃料の濃縮度では、どんな魔法でも核爆発は起きないからである。

 厄介なのは「チャイナシンドローム」だ。「メルトスルー」とも呼ばれるが、すなわち高温になった核燃料が格納容器に穴を開け、地中に漏れ出す現象である。“地球の裏側まで突き抜ける”という「チャイナシンドローム」は完全なデマだが、地中に核燃料が漏れ出せば環境汚染は甚大で、処理は格段に難しくなる。

 東京電力が昨年11月に発表した事故報告書では、燃料すべてがメルトダウンした1号機では、溶けた高熱の燃料が格納容器内部のコンクリート壁を最大70センチも侵食しているとみられることが明らかにされた。

 これでメルトスルー説に火が付き、「薄い場所ではコンクリートは100センチしかない。あと30センチあまりで燃料が地中に漏れ出す」などと騒がれた。新聞やテレビまでご丁寧に図解付きで同様に報じた。ところが、これも事実とは大きく違っていたのである。

 原子炉の構造は各号機で違うが、1号機で侵食されたコンクリートとは、厚さ平均3.8センチの鉄板でできた格納容器本体の内側に打たれた床面のことで、溶けた燃料が落下したと考えられる圧力容器の真下では、厚さが260センチある。

 床面には穴が開いた場所もあるので、床面のコンクリートが100センチ程度の場所に落ちた可能性も確かにあるが、その外側に先の鉄板があり、実はその下にもまだ760センチのコンクリート壁がある。さらにその下に原子炉建屋の堅牢な基礎があるから、今後、核燃料がメルトスルーする可能性はゼロといっても過言ではない。

 東芝で原子炉設計に携わった日本システム安全研究所の吉岡律夫・代表は、原子炉について誤解と誤報が多すぎたと嘆息する。

「新聞は反原発派の話を鵜呑みにし、地震で配管が破断したとか、津波の前に制御不能に陥ったなどと報じたが、後の検証ですべて間違いとわかった。1号機は格納容器が小さすぎたとか、3号機はMOX燃料(※2)だから爆発するとか、再臨界、核爆発など、専門家なら真偽のすぐわかる噂がまかり通った。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
NEWSポストセブン

トピックスRSS

ランキング