過度な嫌煙はファシズム許容空気広まり思いやり消失の恐れも

NEWSポストセブン / 2012年4月2日 16時0分

 いま、日本社会で、密かに「たばこ撲滅」の動きが進んでいる。分煙社会が進むことは嫌煙家のみならず、愛煙家にとっても歓迎すべきことだ。だが、もし行き過ぎた規制が、たばこの存在自体が許せない行政機関のトップによって進められつつあるとしたらどうだろう。ジャーナリストの入江一氏が報告する。

 * * *
 我々が知らないところで、厚労省がたばこ規制を強化し始めた理由はどこにあるのか。

 これまでも度々たばこ規制の弊害について指摘してきた経済アナリストの森永卓郎氏(獨協大学教授)はなかば呆れ顔でこう指摘する。

「何と言っても小宮山洋子・厚労相の存在が大きい。厚労省には山ほど問題があるのに、小宮山氏の頭の中は『とにかくたばこが嫌だから殲滅したい』ということしかないように思えます。そんな偏った信念で凝り固まっていたら、理屈が通るはずがない。そうした大臣を頂いている以上、厚労省が走るのは当然と言えます」

 小宮山氏と言えば、初当選以来、国会内の禁煙運動に力を注ぎ、2002年には超党派の「禁煙推進議員連盟」を発足。自他共に「歩く禁煙マーク」と認める、名うての嫌煙派である。これまでも、「たばこ1箱700円台にすべき」などと財務省所管の増税にまで口を出し、物議を醸したことがある。

 その小宮山氏率いる厚労省が、たばこ規制の根拠のひとつに挙げているのが、「日本の喫煙率は先進国の中で高い」という認識である。だが、その常識はすでに古くなっている。今やG8 (先進8か国)の中では、フランスやドイツ、イギリスなどよりも低く、カナダ(16.1%)やアメリカ(16.7%)に次ぐ下から3番目。すでに先進国並みの水準と言える。

 たばこの喫煙場所の規制に関しても同様だ。

 たとえば屋外の全面禁煙。アメリカをはじめ、ドイツ、フランスなどでは屋内は当たり前だが、屋外に目立った規制はない。一方、日本では2002年に東京・千代田区が実施した「路上喫煙禁止条例」を皮切りに全国の自治体で広まったように、まず「屋外」から始まった。

 そこに翌年から施行された健康増進法が加わったことで「屋内」の禁煙化も進み、喫煙者は外からも内からも締め出されるという、世界にも類を見ない状況に置かれているのだ。

 確かに、健康を目的としたたばこ規制は、嫌煙家のみならず、子どもや妊婦をはじめ非喫煙者にとってはありがたい話に違いない。しかし、行き過ぎた規制の先には必ずや社会の歪が生まれる。森永氏が解説する。

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