「年寄りは朝が早い」をスイスのフライブルグ大学博士が証明

NEWSポストセブン / 2012年3月23日 16時2分

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によれば、年をとると朝早く目が覚めるのは時計遺伝子の影響だという。以下、白澤氏の解説だ。

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 動物の体内には1日24時間の時を刻んでいる体内時計(概日リズム)がある。この体内時計が遅れるといつしか深夜族になり、ひどくなると昼夜が逆転してしまうこともある。海外旅行をしたときに、すぐに時差を調整できないのもこの体内時計がしばらくの間は自国にセットされているためである。

 若い頃は朝が苦手な人が多く、年をとると逆に夜早い時間に眠くなり朝早く目が覚めてしまう。この睡眠の相(時間帯)が前側にずれてしまう状態を「睡眠相前進症候群」と呼んでいるが、加齢に伴い睡眠相は前側にずれる傾向があり、高齢者に多く見られる睡眠障害の一つになっている。

 スイスのフライブルグ大学医学部生化学のコニー・ジュード博士は、若齢者と高齢者の口腔粘膜の細胞を採取し時計遺伝子パーツー(Per2)の発現量を比較した。すると高齢者の時計遺伝子の発現量は若齢者に比べて低くなっていた。さらに朝、昼間、夜に分けて時計遺伝子の発現を検討すると、いずれの時間帯でも加齢性の発現低下が認められた。年をとると朝早く目が覚めてしまい夜は早い時間に眠くなるのは、時計遺伝子の発現量低下が原因の一つであることが分かったのである。

 これまでの研究で、早朝や夕方に青い光を浴びると10時間後に時計遺伝子の発現が増える効果が知られていたが、今回の研究で年をとると青い光の効果も減弱することが分かった。加齢に伴う時計遺伝子の機能の低下の原因は未だに不明だが、早朝や夕方に太陽の光を浴びて時計遺伝子をリセットし、体内時計を若々しく保つことは高齢期に生体リズムを維持するために重要であることには変わりはない。

※週刊ポスト2012年3月30日号



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