中高年 太極拳に転倒予防効果あることが米大学医学部で判明

NEWSポストセブン / 2012年3月31日 7時0分

 白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によれば、中高年の太極拳に転倒予防効果が認められたという。以下、白澤氏の解説だ。
 
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 これまであまり健康に気を配ってこなかった中高年が、運動不足解消のためにスポーツジム通いを始めるケースは多い。しかし、ジム通いは得てして長続きしないもの。最近はランニングもブームになっているが、いきなり走るのも難しいし、年を取ると膝の故障などが心配だ。
 
 ウォーキングは膝の負担が少ないのでお勧めだが、すぐに飽きてしまうので、もう少しスポーツ要素の高い趣味を持ちたいと考えている人も多いのではないだろうか。

 私がお勧めするのは太極拳だ。古くから中国で武術として継承されてきた拳法の1つだが、実際に格闘する武術というより健康体操の1つとして広まったものだ。太極拳の良い点はグループでできること、運動神経よりも経験年数のほうが上達に関連していること、野外での体操になるので自然に触れたりするアウトドアスポーツのメリットがあること、などが挙げられる。

 米国オレゴン州立大学医学部のフーツォン・リー博士は太極拳がパーキンソン病患者の転倒予防に有効であることを明らかにした。パーキンソン病は高齢期によく見られる神経変性疾患の1つで、中脳のドーパミン分泌細胞の変性による震えや筋肉の緊張、姿勢の保持が難しくなるといった運動障害を主要症状とする難病である。
 
 小刻み歩行もパーキンソン病に特有の症状であるが、年をとると歩幅が小さくなって前屈みになるのは中脳のドーパミン分泌細胞が減少してくるためである。

 リー博士はパーキンソン病の195症例を(1)太極拳群、(2)筋トレ群、(3)ストレッチ群の3群に分け、それぞれ60分のセッションを週に2回、半年間続けさせた。その結果、太極拳群は筋トレ群やストレッチ群に比べて、姿勢の安定性はそれぞれ5.55%、11.98%改善、バランス感覚はそれぞれ10.53%、11.38%改善した。

 半年間の転倒の頻度も筋トレ群0.51回/月、ストレッチ群0.62回/月に対して、太極拳群は0.22回/月と明らかに転倒予防効果が認められたのである。

※週刊ポスト2012年4月6日号



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