企業の新しいCSR活動の形 参加者がイベントとして楽しめる

NEWSポストセブン / 2012年3月30日 7時0分

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5時間約12kmを歩き終えて、充実した表情の参加者

 日本に流れる川の数をご存じだろうか? その数なんと約18万本。うち国交省が管理する一級水系が109あり、その水系に関わる一級河川の数は1万4000本にもなる。それで国内の河川、約7割を占めるという。

 トヨタの新型ハイブリッド車、ラテン語で水を意味する「アクア」の発売を機に、水をテーマにした自然環境を守るアクションプログラム「AQUA SOCIAL FES!!」(アクアソーシャルフェス)がスタート。3月24日(土)には、東京都と神奈川県にまたがる一級河川であり、流域内人口密度は全国一位の鶴見川流域で、そのプログラムが開催された。

 この日の内容はJR鴨居駅付近から綱島河川敷までの約12kmを、鶴見川について学びながらウォーキングするというもの。途中、遡上してきたばかりの鮎など川に住む生物や、外来種にその存在を脅かされている葦などの植物に実際に触れてみる。

「最初はあまりきれいな川じゃないなと思ってたんです。でも、川って源流が岩なのか泥なのかによって見え方が違うこと。単に水の透明度が高ければ、生物が住みやすいというわけじゃないこと。葦やすすきも大切で、そこに生物のサイクルができている。それを知れば知るほどおもしろくなった」と参加していた20代の男性は話す。

「地球の地べたの種類は3つ。氷の世界か、砂の世界か、雨が降る世界です。そして、雨が降る世界にはかならず川があって、それがジグソーパズルのようにはりめぐらされている。その流域に人々の生活があるんです。

 水害や汚染を防止するための最適解を探そうとするとき、実は、国や行政の単位ではなく、流域の単位で考えることが大事なんだと、そんなことに気づいてもらえたらうれしいですね」と、この活動の意義を話すのは、この日のアドバイザーを務めた、慶應義塾大学教授で鶴見川流域ネットワーキング代表の岸由二氏。

 約50人の参加者には家族連れをはじめ、20代や30代の若者の姿が目立つ。話を聞いてみると、これまでこういったイベントへの参加経験がない人も、FacebookやTwitterなどをきっかけに「なんだか、おもしろそう」と参加する人が多いようだ。

 プログラムは4つのグループに分かれて進行。ランチタイムのミーティングでは、めいめいが「私の川」について語り合い、初対面の人たちもどんどん仲良くなっていく。ウォーキングでは時おり雨にも降られたが、自然の中を歩いていると案外気にならない。ゴール地点の綱島河川敷でのクリーンアップ作業では、みな競いあうようにゴミを拾っていた。

「トラッシュピッキングと名づけて、これまでにも清掃イベントを行っていますが、こうした活動は有料でも人が集まるくらい人気なんです」(前出・岸氏)

 有料でも人気というタイプのイベントだが、この「アクアソーシャルフェス」の参加料は無料である。実際に5時間かけて約12kmを歩いた参加者たちはみな、一様に楽しそうな笑顔を見せていた。

 このプログラムはトヨタによって実施されるものだが、車両の展示や試乗などの直接的な販促活動は行われない。商品プロモーションと社会貢献活動を両立させる新たな試みだ。トヨタマーケティングジャパンの折戸弘一氏は、取り組みについてこう語る。

「今、若い人たちを中心に何か社会の役に立ちたいと、活動をされる方がたくさんいる。そういう人たちと、社会貢献活動を通じて、この新しいハイブリッドカーへの共感をえられればと思っています。

 社会貢献というと、とかく難しく考えがちですが、気楽に来ても楽しめるんだなと、実際に参加してみて、自分自身でもそう感じています。すぐに何かができるとは思っていません。1年でできなければ、2年、3年かけてでも、息の長い活動にできればと思っています」

「アクアソーシャルフェス」は年内を目途に、北は北海道から南は沖縄の47都道府県50カ所、のべ150回以上が開催され、4月には鶴見川流域でも、第二回イベントが開催される予定だ。次は源流をたどるプログラムで、水源の森を実際に歩きながら、森の役割や保全、回復に向けた課題について話を聞き、草刈り、土のう作り、そしてホタルの幼虫の放流体験などが用意されている。

 これまでも、劣悪な水環境のもとで生活しているアフリカの子どもたちが清潔で安全な水を飲めるようになる、ボルヴィックの「ワンリッター フォー テンリッター」や、スーパードライ1本につき1円を日本全国47都道府県それぞれの自然や文化財などの保護・保全活動に寄付する、アサヒビールの「うまい!を明日へ!」プロジェクトなど、収益の一部を社会に還元する活動は多く存在している。

 一方、JTの「ひろえば街が好きになる運動」や今回紹介したトヨタ「アクアソーシャルフェス」といった、イベントとして参加者が楽しむ、消費者とのコミュニケーションを兼ねた一般参加型の社会貢献活動はまだ少ないといえるだろう。

 野外でのレクリエーションやイベントが楽しくなるこれからの季節、無料で、楽しめて、社会貢献もできる――そういう“おトクなイベント”を探してみるのもいいかもしれない。



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