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スランプからどう脱け出すか【1】神戸ポートピアホテル社長 中内 仁

プレジデントオンライン / 2013年9月5日 12時15分

神戸ポートピアホテル社長 中内 仁

売れない、アイデアが出ない、人が付いてこない。落ち込むことは誰にでもある。問題はそこからどう回復するか。一流ホテルの社長、トップセールスマン、学校改革の旗手など、第一線で活躍する人たちが自分だけの秘法を明かしてくれた。

風光明媚な神戸・ポートアイランドにそびえる全745室の神戸ポートピアホテル。社長の中内仁さんは米コーネル大学大学院でホテル経営を学び、マリオット、ハイアットなど世界の超一流ホテルで修業を積んだプロのホテルマンだ。

創業者の次男である中内さんは若くして要職を任され、順風満帆の社会人生活を送っていたが、17年前の1995年1月に試練が訪れた。神戸市内の一部で震度7を記録した阪神・淡路大震災の発生である。

「幸いホテルは無事でしたが、周辺の交通がマヒしていたので帰宅もままならず、1度出社したらだいたい3泊4日で頑張りとおしました。当時はアドレナリンが出まくりで気を張っていましたから(笑)、それほど大変だとは思いませんでした。ありがたいことに、縁のある企業が全国的な会議を神戸で開催してくださるとか『神戸を助けよう』という雰囲気が当時はありました。また、婚礼需要も思ったほどには落ち込みませんでしたしね」

ほとんどストレスとは無縁そうな温顔で中内さんは振り返る。だが、真の危機はそのあとに訪れた。

「97年ごろになると、被災地を助けようという気運が下火になり、最盛期に比べると30%くらい売り上げが落ちてしまったんです。ちょうど副社長・総支配人になった時期でしたが、もう1人の副社長と『これは大変だね』と顔を見合わせたのを覚えています」

■老舗にも同じ悩みが

結局、業績回復には7~8年の時間がかかったというが、その間の99年には社長に昇格し、名実ともにホテル経営の全責任を負うことになった。逆境の中の船出である。

のんびりした口調とは裏腹に、中内さんはこの時期、ホテル経営者として何をすべきか、モデルを求めてもがき続けた。ホテル再建王と呼ばれる人の著書を読み込んだほか、自分を見つめなおすため少々過酷な研修にも出かけていった。

そのうちに、一流の業界人の考え方を知りたくなったという。

「97年、当時日の出の勢いだったホテルニューオータニ大阪の甲田浩・総支配人を訪ねました。聞きたかったのは『総支配人にとって大切なことは何ですか?』。大学(コーネル)の先輩でもありますし、ずうずうしく正面から訊いてみたのです。

すると甲田さんは『従業員の顔をお客様のほうへ向けることですよ』と快く教えてくれました。うちのようなオーナー系では、ややもすると従業員がお客様ではなくトップのほうを向いてしまいがちですが、それではサービス業として失格です。同じような悩みを伝統あるニューオータニでも感じておられるのかと思うと、なんだか気が楽になりましたね」

まっすぐに問いをぶつければ、ライバルも胸襟を開いて正直な話をしてくれる。その1歩を踏み出すことが、悩みを晴らすきっかけになるのである。

(プレジデント編集部 面澤 淳市 永井 浩、浮田輝雄、宇佐見利明=撮影)

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