「差が大きければ大きいほど」-後藤禎和
プレジデントオンライン / 2013年9月13日 11時15分
後藤禎和(ごとう・さだかず)1967年、東京都出身。都立日比谷高卒。1986年、早稲田大学に入学。89年、全国大学選手権優勝。主将の清宮克幸は同期。90年、ヤマハ発動機入社。98~99年度、ラグビー部主将を務め、関西Aリーグ(1部)に昇格。2000年度より早大ラグビー蹴球部コーチ就任。03年、NPO法人ワセダクラブの立ち上げに参加。2012年2月より現職。
■後藤禎和(早稲田大学ラグビー蹴球部監督)
雪辱のシーズンがやってきた。夏。長野・菅平高原を訪ねれば、早稲田大学ラグビー部の後藤禎和監督がグラウンド脇に仁王立ちしていた。角刈りの短髪、鋭い眼光……。覇気がからだ全体から立ちのぼる。
「このくらいの戦いはできるところまできました。フィジカル面ではむこうが上だと思います。秋の本番も冬の正月も、こういう展開に持ち込んで、粘り切って勝ち切ります」
練習試合とはいえ、夏の注目の試合だった。早稲田は、大学ラグビー4連覇の帝京大に競り負けた。ひたむきな選手が多いからか、低くて粘り強いタックルで相手の猛攻をよく食い止めた。ディフェンスとスクラムに成長の跡を見せたが、最後は王者のパワーに押し切られた格好だった。
「ひたむきさは、まあ、当たり前のことです。全員がからだを張らないと勝てない相手ですから。一所懸命やっているのはわかるんですけれど、少しずつ、やられている。規律の部分だったり、集中力だったり。早稲田は集中力とクレーバーさで勝たなきゃいけないんです」
東京出身。日比谷高校から早大に入学し、4年生時、大学日本一に輝いた。ヤマハ発動機のラグビー部で活躍した後、「ワセダクラブ」(正式名称「特定非営利活動法人 WASEDA CLUB」。2003年に早大が設立したスポーツクラブ)の立ち上げに参加した。事務局長を務める。ラグビー部のコーチを経て、昨年、監督に就任した。
監督1年目は慌ただしく過ぎた。昨季は関東大学対抗戦4位、大学選手権では準決勝で帝京大に完敗した。「すべての面」での底上げを目標に掲げ、「打倒!帝京大」に挑む。5連覇は許さない。次は“倍返しだ!”。
帝京大の連覇をストップするのは早稲田ですか? と聞けば、後藤監督は「そうです」と表情を引き締めた。
「こだわりがあります。(帝京大に)勝てるのは早稲田だけだと思っています。昔から、強くてでかい相手に勝つためのラグビーを追求してきたのは早稲田だと思います。差が大きければ大きいほど、ぶち負かすのが楽しみです。僕はそういうタイプなので……」
愛称が「ゴッペ」。正月に帝京大を倒して優勝すれば、5年ぶりの大学王座の奪回となる。あえて問う。“早稲田らしさ”とは。
「絶対にあきらめない、ということです。妥協しない。日本一をあきらめません」
(ノンフィクションライター 松瀬 学 小倉和徳=写真)
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