女が男に求める「人並みの年収」とは? -結婚とおカネ・女の言い分
プレジデントオンライン / 2013年9月17日 8時45分
■編集部より指令
総務省「国勢調査」(2010年)によると、男性の生涯未婚率は30年前の約10倍になり、20.1%。女性も10.6%と2倍になり、上昇を続けています。未婚男性の86.3%、女性の89.4%がいずれは結婚したいと思っているにもかかわらずです(国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」(2011年))。
なぜ、こんなにモチベーションの高い男女がすれ違ってしまうのでしょうか。これまで多くの婚活男女に取材してきた、『婚活難民』著者の佐藤留美さん、『30代未婚男』著者(共著)の大宮冬洋さんのお2人に、「すれ違いの現場」で何が起きているのかレポートしてもらいます。
今回は「おカネ問題」。女性にとっては相手の年収は人生に関わる重大事。男性にとっても妻が稼いでくれるかどうかで生活が大きく変わります。アンケートでは、「年収より性格が大事」などという意見が多くみられますが本当のところはどうなのでしょう? きれいごとなしの議論をお待ちしています。
■大宮冬洋さんの回答
低年収でも家事力があれば認めてほしい -結婚とおカネ・男の言い分
http://president.jp/articles/-/10627
■佐藤留美さんの回答
■「400万円~500万円未満」が最多
未婚女性が、結婚相手に求める“最低年収”は、「400万円~500万円未満」――。明治安田生活福祉研究所が13年2月に実施した調査によると、未婚女性が結婚相手に求める最低年収は「400万円~500万円未満」と答えた人が最多で、「収入は問わない」人も含めると、年収「500万円未満」という回答が7割近くに達しました。
ちなみに、総務省の家計調査によると、結婚適齢期の30代前半の男性の平均年収は461万円。ということは、昨今の独身女子は、高望みはせず、意外に現実的ということでしょうか?
私はそうは受け取りません。
アンケートの裏に「わたしの相手には、せめて“人並み”以上でいてほしい」という女の本音が透けて見えます。
■女同士のコワーイ嫉妬
一般的に、日本の女性は、この「人並み」に異様なまでにコダワリがあります。自分の半径5メートル以内にいるご同輩の“平均値”を、自分が持っている何かが下回ると、女はたちまちしょげかえり、いじけ抜き、しまいには、自分より“持っている”人を妬み嫉むという特性を有しています(もちろん、私も例外ではありません)。
たとえば、あの子の方が自分より痩せていてスタイルがいいとか、あの子の彼氏(旦那)のほうが収入がいいなどが、しょげかえり→妬みの対象となります。
ただし、この場合で言うと、あの子より自分のほうがスタイルが悪いけれど、自分の彼氏のほうがあの子の彼氏より年収が高ければ、「持っている指数」は相殺されてチャラ。だから、友達のまま円満でいられるというわけです。
私はコレを「女の半径5メートル問題」と、呼んでいます。
よって、(あくまで私感ですが)、同アンケート調査は、「400万円~500万円未満」の年収の男性と付き合っている(結婚している)人が「半径5メートル以内」に多い人が、ボリュームゾーンだったというだけの話ではないでしょうか。
私が今まで結婚や恋愛に関して取材してきた範囲で言うと、自分の周囲に高収入者および高収入者の伴侶が多い女性の場合、あるいは自分自身も高所得者の場合、やはり、自分の相手にも、同じく高収入を求める傾向にあります。
CAなんて、その代表例ですね。彼女らの多くは、入社数年間は契約社員で年収300万円程度だったはずですが、自分の相手には年収1000万円以上の男性を求めています。
それもそのはず。自分たちの職場のリーダーであるパイロットは未だ日本では平均年収1000万円を超える超高給職種ですし、彼女らがお喋りするようなお客さんは、だいたいビジネスに乗っていますから、まぁ、どう安く見積もっても年収800万円は越しているでしょう。
よって、同僚の女子は、そういう高収入な相手とバタバタ結婚していく。だったら私も……と思うのが人情です。
■最重要条件は「価値観の一致」か?
ところが、このコラムの担当編集者の横田サン(30代既婚)の意見によると、最近は相手の年収より、性格や価値観を重視する人が増えていると言います。
その根拠を探るため、慌ててググってみましたが、確かにその傾向はあるようです。結婚情報誌「ゼクシィ」の「結婚相手に求める条件」(20代~30代女性にアンケート)によると、「条件トップ5」はこんな結果でした。
1位:趣味や金銭感覚など価値観の一致
2位:誠実さや頼りがいなどの性格
2位:あなたへの愛情の深さ
4位:健康状態
5位:年収
※2位は同率
昨今の女性が、男性に求める要素は確かに「価値観」や「性格」のようです。
だが、それもお金とは切っては切り離せないハズです。だって価値観の主要要素は「金銭感覚」となっているし、「性格」だって「頼りがい」なんてキーワードが含まれています。「健康」でなければ、お金も稼げません。
どうでしょう。「金銭感覚がまともなニート」や、「頼りがいのあるフリーター」なんて、該当者がすぐに浮かぶでしょうか?
つまり、女はいつの時代も、「友達の彼氏(旦那)に引け目を感じない程度の年収」で、「まともな金銭感覚」を持ち、「頼りがい」のある男性を求めているということ。
翻って、普通の女は、自分が旦那並(もしくはそれ以上)にガリガリ稼ぎ、「頼りがい」や「金銭感覚」を発揮して、一家をリードしていこうなんて気は、さらさらありません。
中には、そういう女性もいるにはいますが、そういった「女の半径5メートル」問題から突き抜けたような、先進的なリーダータイプの女性など、ごく一握り。
統計に乗ってもこない程のマイノリティだということです。
よって、男性は「僕の彼女は質素だから大丈夫」だとか「最近の子は贅沢を望まない」なんてタカを括らないほうがいい。腹の底では「せめて人並みの暮らしはさせてくれるんだろうな」と、あなたの今後を値踏みしているだけかもしれません。
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1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。
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(ジャーナリスト 佐藤 留美)
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