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柳井正「若者よ、自分で自分の希望をつくれ」【1】

プレジデントオンライン / 2013年10月8日 9時45分

柳井氏の著書『柳井正の希望を持とう』(朝日新書)は朝日新聞土曜版「be」に連載されたコラムをベースに加筆修正された1冊。自著の中で「最も面白い」という声も。

若い頃はフリーター、縁故入社の会社もすぐ辞めた。そんな柳井氏を育てたのは「仕事」だった──。日本一注目される経営者が語る「希望の人生論」とは。
――まず、まえがきが熱い言葉です。そして、本書(『柳井正の希望を持とう』)のまえがきは今の時代に必要な言葉だと思いました。

【柳井】私が指摘したのは大震災では日本人の美点ばかりが語られているが、同時に日本人のよくないところも浮き彫りになったということです。

よくないところとは、程度を超えた自粛、そして自主規制です。繁華街の商店は看板の照明を消し、デパートは営業時間を短縮した。テーマパーク、遊園地、ゴルフ場なども軒並み、自主規制で営業時間を短くしたり、施設を休止したり……。

しかし、そんなことを続けていて、日本経済は復興するのですか? 我々ビジネスマンは稼ぐことが使命です。働いて、金を稼いで生活を豊かにする。金が回るようにして、日本の景気を上向きにしていく。戦後に戻ったようなものです。再び高度成長に向かう気持ちで働かなければ復興はできない。

加えて、自粛と自主規制の問題は、自分の頭で判断していない点にある。世の中の空気に流されて、世の中に配慮して、なんとなく自粛しているだけです。

「隣の店が看板の照明を消したから、うちも消そう」
「商店街のほとんどが早めに店を閉めるから、うちもそうしよう」

横並びの思想です。自分で結論を出したわけではない。これから問われるのは自分の頭で判断して、決めること。周りの空気、隣の人の行動に左右されるなんてことは情けないことだ。

――ユニクロでは震災の後、柳井さんが直接、店長たちに「看板の明かりはつけろ」と指示したそうですが。
ファーストリテイリング会長兼社長 
柳井正氏

【柳井】ええ、そうしました。それは節電をしないということではない。我々の店はロードサイドが多い。看板の照明を落としてしまったら、営業していないと思われる。それではお客様が入ってきません。ですから、看板の明かりは落とすなと指示しました。その代わり、バックオフィスの照明は落とし、店内の明かりは抑えて節電している。節電は必要だけれど、やり方があると思ったのです。

しかしねえ……、看板に明かりをつけていたら、通行人から「どうしてユニクロは消灯しないんだ」と怒られて、消してしまう店長がいる。それを聞いて、私はあらためて指示しました。

「何度、文句を言われても、看板の明かりは消すな。その代わり、文句を言ってきた人に店内に入ってもらい、照明を落としている様子をお見せしろ、と。小売業にとって看板に明かりをともすことはメーカーがラインを動かすのと同じ意味だと伝えるのだ」

世の中のムードに従っていれば軋轢は起きないけれど、それでは日本人の活力は失われてしまう。復興、再生、成長に必要なのは私たちひとりひとりの活力なんです。

――柳井さんは日本が元気になるにはビジネスマンが「商売人の気質」をもう1度、取り戻さなくてはならないとも主張されています。

【柳井】ええ。僕はうちの社員や日本の若い人には世界で活躍できる「商売人」になってほしい。

日本は資源のない国です。敗戦のときには設備やインフラがすべてなくなった。それから、みんなが一生懸命、商売をして、外国へ出かけていって、輸出を伸ばして豊かな国を築き上げた。戦後、日本人は商売人として頑張ったから、復興を果たすことができた。ところが、いつの時代からか商売人気質を忘れて、製造業の職人気質だけを強調するようになった。

しかし、「オレたちはいいモノを作っている」という自負だけでは商品は売れません。

売れるためには3つの要素が必要です。まず、商品がいいこと。これは大前提。加えて、商品のイメージがいい、そして商品情報がいいこと。3つが揃わなくてはヒット商品にはならない。ところが、日本のメーカーの大半は「商品がよければ自然と売れていくだろう」と考えている。しかし、商品自体がよくても、売れないものはたくさんある。いくらいいモノでも、モノを作って、そのままにしておいて、売れる時代ではありません。

(ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長 柳井 正、ノンフィクション作家 野地 秩嘉 野地秩嘉=インタビュー・構成 岡倉禎志=撮影)

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