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親の学歴別「わが子を入れたい大学・会社」【2】

プレジデントオンライン / 2013年12月12日 14時15分

究極の選択として、お子さまに望むのは、どちらですか

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調査概要/gooリサーチと共同でインターネットを通じて調査を実施。子どもを持つ男女2000人から回答を得た。調査期間は11年8月17~20日。

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就職氷河期以来、有名大学の学生たちに対しても大手優良企業の採用の門は閉ざされ続けてきた。有名私立に在学しても、内定が1つも取れないような学生がゴロゴロしている。そんな子どもを持つ親の本音はなにか。

「究極の選択として、お子さまに望むのは、『高学歴低収入』と『高収入低学歴』どちらですか」と率直な質問を親たちにぶつけたところ、衝撃の調査結果が示された。回答者全体の約80%の人々が子どもには『高学歴低収入』よりも『高収入低学歴』を期待していることがわかったのだ。現代のような不確実性が増している時代では、生きていくために必要な「現金」が重要という親の現実的な判断が窺える。

高学歴よりも高収入を選択した親は「高学歴が高収入につながる世の中ではないから」「学歴がすべてではなく、世の中をうまく渡れる人になってほしい」「高学歴だからと言って収入が保証されるわけではない。しかし、学歴はカネで買える」などとコメントしている。一方で、少数派ではあるものの、高年収よりも高学歴を選択した親は「金があっても使い方がわからない馬鹿にはなってほしくない」「人生の豊かさは教養の高さによって決まると思う」と辛辣だ。「高学歴を誇る人も、高収入を誇る人も下品だが、低学歴高収入には、水商売の香りがする」という意見もあった。

この点についてさらに掘り下げて分析してみると、親の学歴によって回答傾向に差違が見られることも同時に確認された。

大学院・東一早慶など偏差値64以上の大学卒の親(A層)の36%が「高収入よりも高学歴」を選択したのに対し、MARCHなど偏差値64未満~55以上の大学卒の親(B層)は31%、MARCH未満などの偏差値55未満の大学卒の親(C層)は24%、短大・専門学校以下の学歴を持つ親(D層)は13%と低学歴層になればなるほど徐々に高学歴志向は低下していく。つまり、裏を返せば低学歴者であるほど、子どもに高学歴よりも高収入を求めるという結果だった。

なぜ、このような違いが生じるのであろうか。それは各学歴層の人々がお互いに対して持っている偏見によるところが大きいように推測される。A層からは低学歴層に対して「他力本願」「子どもにDQN(不良、低脳などの意)ネームをつけるのは低学歴」など露骨な偏見が垣間見られたが、逆にD層から見ると高学歴層に対して「プライドが高い」「人を見下す」などの評価が目立つ。高学歴者が収入の高さ以上に、学歴の高さと人間性の良さを絡めて捉えているのに対し、低学歴層はそのような高学歴層の考え方そのものが鼻につくようだ。

この点に関して、婚活中の娘を持つ高学歴主婦のHさんの意見は率直だ。

「娘の相手には、学歴や収入などあまり多くを望まないようにしている。結婚してくれることが第一だと思うので。ただし、多くのカップルを見てきたけれど、相手を選ぶポイントは地頭の良さ。そういう人は成功する可能性が高いと思う」とわが子の結婚相手を厳しく査定している。

子どもには、いずれ独立して起業家として活躍してほしい親もいる。

「勤めるのは奴隷と一緒。自分の人生の時間を切り売りしているわけだから」

このような意見を持つ人は、高学歴層の親に散見され、自分の子どもに圧倒的な自信を持っていることを窺わせる発言だ。誰しも自分の子どもには過大な期待を持ってしまうもの。世界を股にかけて活躍するわが子の将来の姿を夢想することは、子を持つ親に与えられた特権である。

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学歴別子どもを入社させたい企業ランキング

しかし、現実的にわが子の就職先として望まれているものは断トツで「お役所」だ。「公務員」はA層からD層まですべての階層で圧倒的な人気で1位を誇る。「不況に強い」「安定している」「公務員ほどおいしい仕事はない」など、コメントは厳しい経済環境を勘案した親の心配を感じさせる。どれほど隆盛を誇る企業であったとしても、民間企業である以上、何らかの拍子に経営が傾いてリストラされるかもしれない、そんな社会的な恐怖心の裏返しのような調査結果だ。ちなみに、学歴別の特徴としては、特にD層の中で親の学歴が中卒・高卒の場合では、同じ公務員であったとしても「市役所」と回答する割合が極めて高かった。

■周囲の低レベル学生と合わない

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子どもを入社させたい企業ランキング

就職させたい企業としては「トヨタ自動車」が首位。「日本一の企業」「リーディングカンパニーで社会貢献度も高いから」という意見が大半を占めており、企業としての圧倒的なブランド力を発揮している。また、「ソニー」「パナソニック」「グーグル」なども人気だ。ソニーは独創性や社風が評価されており、パナソニックは関西企業の雄として存在価値が認められる傾向にあるようだ。グーグルに関しては「夢がある」「グローバルに活躍してほしい」など、将来性を認めた表現が多い。トヨタ、ソニー、パナソニックなど大手製造業が上位に入ってくる様子を見ていると、そこから子どもを持つ親世代の人生観が醸し出されてくるようだ。

学歴別で特に差が出る企業が「任天堂」であった。A層やB層では比較的少数派であった任天堂はC層やD層の親から人気が高く、「楽しそうだから」「ゲームが好きだから」などと自分の趣味と絡めたものが目立った。さらに、低学歴層になればなるほど、子どもに入社してほしい企業について「特に考えていない」という声が多かった。

「三流私立大学は、就職の面倒見がいいという評判がない限り価値はないと思っている。通わせる価値のない大学に行かせる意味がわからない」

と、辛辣な意見を述べる40代の父親のAさん。就職難がますます深刻化する中で、旧態依然とした大学に注がれる世間の目線は厳しい。

親にとって避けてほしい大学の特徴は何だろうか。ズバリ、親にとって重要なポイントは「学費」だ。通ってほしくない大学を尋ねたところ、具体名というよりは「私立大学は金がかかるからやめてほしい」という親の本音が多数寄せられた。実に世知辛い世の中であるが、世相を反映した正直な親の気持ちが伝わってくる回答だ。また、傾向として特に偏差値の低い無名大学は露骨に拒否されていることもわかった。具体的な理由として「専門学校に行ったほうがマシ」「周囲の低レベル学生と合わない」「10年後までに大学がなくなっている可能性がある」と言いたい放題だ。親にとって私立無名大学には高い学費を払う価値がないということなのだろう。

また、具体的な理由が挙げられて拒否される傾向があった大学には、右翼的かつ粗野なイメージと宗教色が強いイメージという2つの特徴があった。在学するだけで色眼鏡で見られるのを避けたいのだろう。ちなみに、入学させたくない大学として「早稲田大学」の名前が挙げられるケースがあった。早稲田大学は、入学させたい大学でも上位であるにもかかわらず「遊んでばかりいる」「あまりいい話題を聞かないから」など、一部の親からはいまだ過去のスキャンダルに対する反発感情があることが確認された。

入社させたくない企業として最も名前を挙げられたのは「東京電力」だった。東日本大震災以降の世情を反映しているのだろう。公務員と同じく規制に守られたお堅い仕事で、2010年までの調査であれば上位ランクインは当然だっただろう。「原発で働くことになったら怖いから」「モラルが低い企業であり、お役所体質に染まっているため」などの声が多数寄せられている。原発事故後の対応などの印象の悪さがアンケート結果に影響しているようだ。

業界でいえば、「消費者金融」や「パチンコ」も不人気だった。前者は「胸を張れる仕事ではないから」「危険・やりがいがなさそう」など、後者は「世の中の毒だから」「風紀が悪いから」などのコメントが寄せられている。個別の企業というよりも業界全体としてのイメージが心理的な抵抗感を生み出している。

さらに中小企業を拒否する傾向もあった。これは企業や業界としてのイメージの問題よりも切実な問題として、企業としての存続可能性が疑問視されている。自由記述には「不安定だから」「いつ潰れるかわからない」など、子どもの将来を心配する親の思いが反映され、雇用環境が景気動向に左右されがちな中小企業勤務への不安感は強い。

だが、子どもの就職についていろいろと口うるさい注文をつけつつも、子どもに入社させたくない企業という設問に対する最も多い回答は「特になし」。理由は「就職できればよし」など、どのような会社であっても子どもに働いてほしいという思いが伝わってくる。親自身もリストラの危機と向き合う中で「働けるなら文句を言うな!」という厳しい世相を反映しているのだ。

(飯島 豊)

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