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教育費を効率よく貯める、とっておきの保険とは?

プレジデントオンライン / 2013年12月24日 10時45分

低解約返戻金型の終身保険への加入例

■学資保険が定番だが……

子どもが生まれると、親としては教育費の心配をしなければならなくなる。教育費を貯めるポイントは、できるだけ早くから積み立て始めることといわれるが、何で貯めるのがいいのだろうか。

定期預金や投資信託などに加えて、保険という選択肢もある。教育費準備のための保険といえば、学資保険やこども保険が定番だ。しかし、子どもの教育費の準備のために密かに活用されているのが、「低解約返戻金型(ていかいやくへんれいきんがた)の終身保険」だ。

終身保険で教育費がまかなえるのか、と不思議だが、要はお金を貯めていって必要なときに払い戻しができる保険と考えるとわかりやすいだろう。

終身保険は、死亡保障が一生涯つくタイプの保険。人はいつか亡くなるので、必ず保険金が受け取れる。定期保険と違って掛け捨てでないため、途中で解約しても一定額の解約返戻金が戻る。すなわち、貯蓄型の保険なので、その分、保険料はかなり割高になる。

「低解約返戻金型」の終身保険とは、保障は終身なのだが、保険料を払い込んでいる期間の解約返戻金を7割程度に低く抑えることで、保険料を割安にし、払込期間終了後の解約返戻金がそれまでに払った保険料総額を上回る仕組みにした終身保険だ(図参照)。この保険を子どもの教育費の準備のために提案する代理店や保険会社が増えている。

■低解約返戻金型終身保険と学資保険は、どこが違う?

学資保険は子どもが生まれていないと原則加入できないものだが、低解約返戻金型の終身保険は、子どもが生まれる前から加入しておくことができる。

また、学資保険は満期になったら満期金を受け取らないといけないが、低解約返戻金型の終身保険は、いつでも解約返戻金が受け取れる。しかも、払込期間終了後は、払込保険料総額を超える解約返戻金が受け取れるし、据え置くと少しずつ増えていく。大学入学のために使わずにすんだ場合は、そのまま解約せずに、子どもが結婚するときの資金に充てたり、もっと先の自分たちの老後の資金にすることもできるのだ。

さらに違うのは、被保険者となっている父親(母親)が死亡したとき。学資保険は、それ以降の保険料の払い込みは不要になり、満期になったら満期金が受け取れるのみだが、低解約返戻金型の終身保険は、加入直後でも死亡保障が受け取れて、以降の保険料の支払いはなくなる。

■保険料の払込期間を15年、18年にする

生命保険の予定利率の低下により、学資保険の返戻率は、ここしばらく低い水準だ。最近は気をつけて商品を選ばないと、払込保険料の総額を下回る場合も多い。2013年4月にさらに標準利率が引き下げられ、学資保険や終身保険など貯蓄型の保険の返戻率はさらに低下した。加入する前には自分の年齢でシミュレーションしてもらって比較して選ぼう。

低解約返戻金型の終身保険としては、以前から人気が高い東京海上あんしん生命の「長割り終身」や、AIG富士生命の「E-終身」などがある。

2013年10月に発売されたアクサダイレクト生命保険の低解約返戻金型の終身保険「カチッと終身保険」では、ホームページで教育費を目的にした加入例を出している(1ページ目、図参照)。この例で見ると、月額保険料約1万円を15年間払い込み、払込保険料の総額は約190万円に対し、15年後の解約返戻金は約198万円と約8万円増(返戻率104.1%)。20年後まで据え置くと約209万円まで増え、約19万円増(返戻率109.9%)。解約せずに亡くなった場合の死亡保障は300万円になる。

低解約返戻金型の終身保険に教育費を目的にして加入する場合には、子どもの年齢と合わせて考えて、保険料払込期間を15年や18年にするなど、期間の設定をキチンと決めることがポイント。さらに、無理をしないで払える保険料にしておくことが最大のポイントになる。

■中途解約は、かなり損になってしまう

保険は、加入してしまえば強制力があり、途中で他の目的に使ってしまう可能性が低く、教育費を貯めるには向いている金融商品だ。ただし、低解約返戻金型の終身保険でくれぐれも注意しなくてはならないのが、途中で解約すると、解約返戻金がかなり少なくなるということ。最後まで払い込み続けられる金額で始めるのが鉄則!

個人的には、月額1万~2万円というのが、一般的な年収のご家庭で無理なく続けられる保険料だと考えている。いくら教育費のためとはいえ、月に4万円、5万円もの保険料を15年間払い続けるのは苦しくなる時期もくるのではないだろうか(もちろん、払い続けられる家計の方は大丈夫)。

低解約返戻金型の終身保険の保障額をどのくらいにするかを決めるときには、教育費として戻ってくる額をベースに考えよう。決して「死亡保障は1000万円から2000万円くらい必要ですよね」というセールストークにうなずいてはいけない。これが定期保険なら毎月数千円の保険料ですむが、今話をしているのは終身保険。毎月数万円の保険料が必要になる。終身保険の場合は、保障額に近い金額を払わないといけない貯蓄型の保険だということを認識しておこう。

すべての教育費を保険で準備しようと考えずに、一部を保険で、一部を預貯金などで分散して準備するのが、バランスのとれた、また、いざというときにもお金を減らさずにすむ賢いやり方。

■保険を売る方の事情を考えてみる

最後にひとつ。保険の営業員や代理店から見ると、「学資保険の契約をとって得る手数料より、終身保険の契約をとって得る手数料の方が多い」ということは知っておこう。もちろん、高額の契約の方が手数料は多くなる。もし、高額の終身保険を熱心にすすめられても、自分が払えるだけにしておかないと、損をするのは自分だ。

また、学資保険に加入した場合にも注意点がひとつ。「子どもが生まれたら学資保険」というのは、今の若いお母さんにも浸透しているらしく、学資保険は、お客さんのほうから入りに来てくれる商品となっている。学資保険は業界内では「ドアノック商品」と呼ばれていて、学資保険に加入した家庭にほかの死亡保険や医療保険を売るきっかけになる商品として位置づけられている。学資保険に入ったら、ほかの保険のセールスが頻繁にくる可能性もあるので、気をつけよう。もちろん、必要なものには加入してもいいのだが、入りすぎると、貯蓄ができなくなってしまうから。

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フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。

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(フリーライター 生島 典子)

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